研究課題/領域番号 |
23300301
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 文子 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80162907)
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研究分担者 |
安井 位夫 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70143691)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 折紙 / 教育 / 曲線折り紙 / 理数離れ / 教材開発 |
研究概要 |
近年、算数や数学を敬遠する子供が多く、我国の科学技術の発展に大きな影を落としてきた。ところが、この2,3年は就職難が影響し、就職に有利とされる理系大学への進学率が上昇傾向にある。これは表面的な理系増加であり、理系科目が好きで理系大学に進学したわけではないため、大学の授業についていけない学生が多くみられる。この表面的には分からない根深い理系離れの問題に対処すべく、真に理系好きな子供を育てるための教育用折紙モデルの開発を行った。 直線折りからなる従来の折り紙とは違い、定義自体明らかになっていない曲線折り紙を昨年度に引き続きさらに研究を重ねた。その結果子供たちに理解しやすく、また数学の微分積分の考え方の基礎になる「曲線状折り線を微小な直線で置き換え、慣用の直線折り紙の延長として取り扱う方法」が教材として最も扱いやすいことが分かった。教材の他、曲線折り紙の考えを基にした、円錐殻への貫通穴開け法、波状表面を持つ緩衝材など、工業的にも利用価値のあるモデルを考案した。 教育用折り紙モデルの教育現場への普及を進めるため、高校生を対象とした講義を5回ほど行った。子供たちが理系を完全に嫌うわけではなく、教え方によっては理系を得意とする子どもたちを育てることが可能であるということを実感することができた。 円錐殻に貫通穴をあける方法を工学的に応用すると、今まで、様々な方法を試みても解決策が見当たらなかった菓子袋などの包装材への詰め込みに関する知見が得られた。また、工学ばかりではなく、芸術、生物学、心理学、音響学への応用などが考えられることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き曲線折り紙の研究を行った結果、曲線折紙を教材に生かす方法を明らかにすることができた。また、講習会を多数回開くことで、子供たちの理系に対する反応を知ることができ、教材づくりの指針が固まった。これらのことから、達成度は順調といえる。ただし、当初予定した「平面の比周期的な充填法の開発」には手がつけられなかったことから、「おおむね」順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、教育用折紙モデルの開発を行うと共に、教材の商品化を進める。また、広く認知されるように、Webの活用、講習会開催、教育書の執筆を行う。
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