研究課題/領域番号 |
23300307
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
仲林 清 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (20462765)
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研究分担者 |
森本 容介 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 准教授 (00435702)
池田 満 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (80212786)
青木 久美子 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 教授 (90392290)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | グループ学習 / 学習支援システムアーキテクチャ / 教材オブジェクト / Learning Design規格 / eラーニング技術標準化 |
研究概要 |
本研究は,e ラーニングにおける自己学習やグループ学習などの多様な学習形態を統合的に支援し,機能追加やカスタマイズに柔軟に適応可能な機能拡張性と,コンテンツや学習方略記述を含むシステムの相互運用性を両立可能な学習支援システム構成法を確立することを目的とする.このため,これまで「教材オブジェクト」と呼ぶ概念を導入した学習支援システムのアーキテクチャELECOAを提案し,自己学習支援システムに適用した.本研究では,この概念をベースに,自己学習支援に留まらず,構成主義的学習観に基づくグループ学習などの多様な学習形態を統合的に支援し,機能追加やカスタマイズに柔軟に適応可能な機能拡張性と,コンテンツや学習方略記述を含むシステムの相互運用性を両立可能な学習支援システムの構成法を研究開発する. 前年度(平成23年度)は,Learning Design規格の動作を,教材オブジェクトを用いて実現するための基本検討とプロトタイプ開発を行った.このプロトタイプでは,個々の利用者に対して,学習アクティビティの階層構造を生成し,各学習アクティビティには制御ルールを実行する教材オブジェクトを割り当てている.今年度(平成24年度)は,グループ学習の教授法としてJigsaw法を取り上げ,複数の学習者が,学習の流れの中で複数のグループに所属しながら学習を進めるようなシナリオをユースケースとして,詳細機能検討,プロトタイプの実装を進めた.具体的には,「学習者の属するグループを決めるグルーピングルール」,「所属グループに応じて流れを変えるブランチ」,「複数学習者の流れを一致させるゲート」という教材オブジェクトを新規に開発し,Jigsaw法の学習シナリオが実現できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に予定していた「マクロ教材オブジェクト」については,方針を変更し,研究実績に挙げたJigsaw法を実現するための教材オブジェクトの開発を進めた.「自己学習支援機能とグループ学習支援機能の統合」については,検証はまだであるが,設計上は統合が可能となるように考慮している.「Web サービスやWidget による教材オブジェクトの実現」については未着手であるが,今後の推進方策に示す「教材オブジェクト間通信の一般化」の中で,合わせてWeb サービスやWidgetとの通信についても検討する.
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今後の研究の推進方策 |
H25年度は,主に以下の2点を実施する予定である. 1) 教材オブジェクトの拡充:他の協調学習やグループ学習の方略をユースケースとして,それが,これまで開発した教材オブジェクトで実現可能か否かを検討し,必要に応じて新たな教材オブジェクトを実装する.前年度までに,学習アクティビティの階層構造を生成し,各学習アクティビティには制御ルールを実行する教材オブジェクトを割り当てる構成と,グループ学習を実現するためのいくつかの教材オブジェクトを開発したが,これらによって,他のさらに複雑な学習シナリオが実現できるか否かを検証し,必要に応じて新たな教材オブジェクトを開発する. 2) 教材オブジェクト間通信の一般化:これまでに開発した機能における教材オブジェクト間通信のパターンを整理し,共通的な通信機能と個別的な通信機能にプロトコルをレイヤー化し,今後の拡張性を担保する.教材オブジェクト間の通信は,お互いを呼び出すための基本的なメカニズムと,その際に受け渡しされる通信メッセージから構成される.さらに通信メッセージは,教材オブジェクトの動作に関する指示や学習者の状態に関するものなどが含まれる.これらの通信メッセージには非常に基本的なものと,応用に応じた特殊なものが含まれると考えられるので,これらを整理体系化して拡張に向けた指針を示す. また,開発物はグループ学習用に利用可能なオープンソースとして公開することを検討する.
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