研究概要 |
平成23年度において実施した研究内容は以下の3つに分けられる. ①指人形劇におけるコンテンツ調査と分析の実施:情報処理学会研究会や,国際会議(ACE)などで先進的な演劇研究を行っている国内外の研究の資料収集を行った. ②没入感のあるインタフェースの開発:当初予定していたヘッドマウントディスプレイを用いる手法はユーザにとって適切でないと判断し, Kinectセンサを用いたインタフェースのデザインに着手した. 物語の展開の選択する場面において, 身体動作を用いて, 没入感を高めるようにした. Kinectセンサは, 人の手の位置とジェスチャーを読み取り, 画面の手の位置に対応し, 背景画面内のカーソルが動作する。ユーザはカーソルを操作して, 物語の展開に対応したアイコンの中から, 好きなアイコンを1つ選択する. カーソルが画面のアイコン上に重なった状態で, 「push」の情報を受け取ると,アイコンに対応するアニメーションが動作する. ③人形劇コンテンツデザイン:デザイン研究者と教育研究者と連携し, 人形劇のためのデザイン指針の策定及び開発を行った. 劇中に使用する人形のデザインを行った. 制作した人形は, 手が動くパペットと呼ばれる形式である. また, インタフェースのデザインに合わせた楽しめ没入感の高いアニメーションコンテンツをflashソフトを用いて開発した. このアニメーションコンテンツは, 台詞が中に埋め込まれており, シナリオの途中で, ユーザのアクションによって, Kinectセンサが連動してストーリーが多数の場面に分岐する内容であり, アニメーションが終了すると最初の画面に戻る.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度の研究計画に沿って, 開発に関する機材の検討が行われ, 適切なシステムの開発を行った. また開発したプロットタイプのシステムを用いて, 性能の一部に対してユーザ実験を行うことができ, 本研究の目的について有効性を検証することができた.
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は,本来の目的のユーザである特別支援学校の聴覚障害のある児童と, 健常の児童を対象に, 同様にPuppet Theaterを楽しむことが可能であるかどうか,検証実験を行う予定である。また子供から大人まで, 幅広い年齢層が楽しめるよう,分岐の回数の多いシナリオに基づいたコンテンツを制作し, 内容の適性を検討する.そして覚障害者と健常者が統合された鑑賞者群でも, 同様にPuppet Theater を楽しむことができるかについての実験,身体動作を用いて参加する機能による聴覚障害者,健常者の協調支援や, アニメーション,吹き出しと実際の人形の動きとを整合させるインタフェース機能の拡張ができるかどうか検討する予定である.
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