研究課題/領域番号 |
23300313
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研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
藤芳 衛 独立行政法人大学入試センター, 入学者選抜研究機構, 特任教授 (20190085)
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キーワード | 視覚障害者 / 中途失明者 / 読字障害者 / 2次元コード / 音声問題 |
研究概要 |
最新の見えない2次元コードを活用して鉛筆をペン型のデジタルオーディオプレーヤに置き換えた、紙筆テスト感覚の新しい2種類の音声問題、すなわち文字と音声のマルチモーダル問題と文書構造表音声問題を開発し、実用化を研究している。 1 音声問題作成システムの開発--問題冊子の電子データを問題の文書構造に即して区分し、各区分に2次元コードを割り付け重ねて印刷することにより、文字と音声のマルチモーダル問題冊子の効率的作成が可能となった。また、この文書構造だけを記号で表記した問題冊子に2次元コードを割り付け重ねて印刷することにより点字または通常文字の文書構造表音声問題冊子も効率的作成が可能となった。2次元コード開発元の協力を得て必要ソフトウェアを開発した。 2 音声出題法の開発--古文や漢文、数式及び英語の発音や綴りに関する問題の音声出題法を研究した。また、図表の音声出題法を開発した。 3 平成23年度評価実験--総合試験問題を出題した実験の結果、従来の点字問題と拡大文字または通常文字問題に加えて、この紙筆テスト感覚の新しい2種類の音声問題を実用化すれば、読字障害の発達障害者、中途失明者及び重度の弱視者はもとより文字認知に障害を有するすべての受験者のセンター試験等の受験が可能となることが見出された。実験計画は、3×3のグレコラテン方格である。被験者群は、点字使用高校生15名、弱視高校生9名、読字障害者(多くは高校卒業者) 9名、健常高校生21名。テストメディアは、点字問題、拡大文字問題、マルチモーダル問題、文書構造表音声問題、通常文字問題の5種類のうちから3種類を出題。 4 特別問題一貫作成システムの開発--高解像度の点字グラフィックプリンタを購入し、点字問題と点字の文書構造表音声問題を印刷する計画であったが、発売が遅くなったため購入を次年度に見送らざるを得なくなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次元コード方式の音声問題の作成法と出題がシステム開発され、評価実験の結果、有用な知見を得た。残念ながら点字グラフィックプリンタの新発売が遅れたため、特別問題一貫作成システムの研究は遅滞した。
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今後の研究の推進方策 |
文字認知障害者のセンター試験等の受験を可能にするため、2次元コード方式の2種類の新しい音声問題をさらに研究する。問題作成を効率化するため音声問題一貫作成オーサリングシステムを開発する。
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