研究概要 |
加速器質量分析(AMS)法は、微小試料からの極微量元素を高精度かつ短時間に測定することができる高感度質量分析装置である。特に半減期が5730年の炭素14(^<14>C)に対するAMS測定は、動植物に由来する年代を決定する年代測定法として幅広く利用され、人類の文化と歴史、宇宙科学や環境科学、そして医学・薬学分野の重要な測定ツールの一翼を担っている。山形大学は、東北・北海道地区の大学法人として初となる最新型のコンパクトAMSと試料調整のためのグラファイト調整システムを平成22年3,月にμ」形大学総合科学研究所に導入した。本申請では、世界最高レベルとなる0.1%の測定精度を目標に、AMS装置の高感度化と安定化のための基礎研究、そして試料作製システムの高速自動化の開発を推進し、文化財科学の発展に貢献することを目指す。 本年度は、コンパクトAMSシステムの性能評価として、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)とIAEA(国際原子力機関)が提供するSRM4990CとC1からC9の標準試料をサンプルとして用いた、これらの試料中に含まれる不純物を酸-アルカリ-酸(AAA)処理装置により取り除き、同じく山形大学に設置したCO_2精製装置により燃焼し、グラファイト生成装置による還元作用によりグラファイト化した。精製したグラファイトを専用カソードに装填し試料中の炭素12,13,14(^<12>C,^<13>C,^<14>C)の量を測定し、コンパクトAMSシステムにて性能評価を行った.
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