研究課題/領域番号 |
23300322
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中井 俊一 東京大学, 地震研究所, 教授 (50188869)
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研究分担者 |
三船 温尚 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (20181969)
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 情報資料系, 教授 (50205663)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | スズ / 同位体 / 青銅器 / スズ石 / 鋳造 / ICP質量分析計 |
研究概要 |
今年度は主に研究分担者の三船が鋳造した青銅ブロックと原材料のスズビードの再分析と解釈を行った.前年度の結果にはスズ精製のさいに問題があったことが疑われたからである.鋳造実験では高純度のスズと銅を黒鉛ルツボ中で融解し,粘土製の鋳型に溶融物を流し込んだ.蒸発による同位体分別の大きさを評価しやすくするため金属の注ぎ口が大きな開放吹きの条件で行った.鋳造した青銅ブロックには鋳型と接触していた周辺部とそれ以外の部分に化学組成や同位体組成の不均質が見られた.周辺部は銅の濃度が高くスズは軽い同位体に富む.これに対し中心部や表層部ではスズの濃度が高くスズは重い同位体に富んでいる.周辺部とそれ以外の部分の化学組成の差は銅-スズ合金の相図から周辺部が急冷されたことを示している.同位体組成の不均質は急冷された周辺部に比べ他の部分でスズが蒸発し重い同位体に富むようになった影響と考えられる.しかし,ブロック内部での同位体の不均質の大きさは,前年度に論文発表したアジア地域のスズ石にみられる自然界の同位体不均質の大きさや,青銅器の同位体不均質より小さいことが明らかになった.中国産の青銅器のようにより閉鎖系の鋳型で作られる場合はさらに不均質は小さいと予想できる.また,原材料のスズビードと鋳造された青銅器の間の同位体組成の変化も限られていて,少なくとも黒鉛ルツボを使う環境で原材料を溶融した場合は鋳造の過程での同位体分別は小さいことを示す.これらの結果は,青銅器の産地推定にスズ同位体トレーサーが使用出来得る可能性を示唆している.鋳造実験の結果を含めた論文を考古学の国際誌に投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
理由
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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