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2011 年度 実績報告書

文化財展示収蔵施設の実状に即したカビ調査技術と制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23300328
研究種目

基盤研究(B)

研究機関独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所

研究代表者

木川 りか  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存修復科学センター, 生物科学研究室長 (40261119)

研究分担者 高鳥 浩介  東京農業大学, 農学部, 教授 (50270624)
久米田 裕子  大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 課長 (10250317)
犬塚 将英  独立行政法人国立文化財機構・東京文化財研究所, 保存修復科学センター, 主任研究員 (00392548)
キーワード文化財 / 保存科学 / カビ / 浮遊菌 / 被災文化財
研究概要

文化財の生物被害のうち、カビによる被害は高松塚古墳壁画のカビによる劣化の問題を契機に非常に深刻な課題として認識されている。わが国の文化財は絵画、工芸品など大変に繊細なものが多いが、カビによる被害はその美観を損ね、また物理的、化学的な劣化をも促進することからきわめて重要な問題であり、その予防と制御が望まれる。本研究では、文化財の展示収蔵施設におけるカビの被害の原因と問題点の実状を明確にした上で、カビの生理的性質に基づいたカビの制御、また被害の早期発見のための調査法、および施設の環境整備のあり方についても研究を行うことを目的としている。今年度は以下の項目について検討を行った。
・文化財展示収蔵施設の現状把握および有効なカビ調査法の検討
いくつかの文化財展示収蔵施設と協力して浮遊菌濃度、浮遊菌の種類、付着菌などについて調査を実施した。浮遊菌調査とあわせ、パーティクルカウンターによる粒径分布別の粉塵調査を組み合わせることにより、それら調査の相関について現在検討を行っている。とくに、被災文化財においてカビが発生しているもののクリーニングを実施している現場では、資料へのリスクの高いカビ、人体へのリスクのあるカビ双方について調査を進めている。
・相対湿度とカビの発生の関係、修復材料とカビの発生度の関係についての予備実験の実施
60%RH,65%RH,70%RH,75%RH,80%RHなどの環壌条件で、文化財展示収蔵施設で多くみられたカビが生育するには、実際にどのくらいの期間がかかるのか、これまでに検出されたカビの中から、好乾性カビをはじめ、重要と考えられるカビを選定し、予備実験を開始した。また、なんらかの修復材料が添加された場合にどの程度、カビの発生の速度が早くなるのかについても同様に検討を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度実施を計画していた文化財展示収蔵施設の現状把握と有効なカビ調査法の検討については、展示室、収蔵庫、古墳環境、被災文化財を管理する現場など、さまざまな施設で検討を行うことができた。また、計画通り、相対湿度とカビの発生の関係について予備実験を開始し、本試験に向けて問題点などを明確にすることができた。

今後の研究の推進方策

東日本大震災ののち、多くの文化財や書籍、文書等が津波による水濡れの被害を受けた。このあと、これらに発生したカビの処置、取扱い、これからさらなるカビの発生の予防が大きな課題となっている。本研究において、通常の施設に加え、これら被災文化財を取り扱う施設において収蔵品のカビの被害、人体への健康被害リスクの評価の両面について検討を行い、取扱いや管理上でよりわかりやすく有益なフレームを構築していきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 霧島神宮の塗装部分から分離された糸状菌の諸性質(報文)2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤嘉則、木川りか, 他
    • 雑誌名

      保存科学

      巻: 51 ページ: 47-58

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 水・塩水で被災した資料の殺菌燻蒸の注意点:資料中の水分・塩分による副生成物の生成量の調査結果について(報告)2012

    • 著者名/発表者名
      木川りか, 他
    • 雑誌名

      保存科学

      巻: 51 ページ: 121-133

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公開日: 2013-06-26  

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