研究課題
基盤研究(B)
本研究では、文化財のカビの被害の原因と問題点を明確にし、適切な調査法、カビの生理的性質に基づいた制御法、施設の環境整備法について検討した。とくに津波で被災した紙資料等については、カビによる資料への影響と人体への健康被害のリスクの双方について検討し、知見をまとめ広く公表した。また、寺社等や古墳など環境制御の難しい現場における対策について検討を行い、常に高湿度にある古墳公開施設においては、紫外線照射等と徹底清掃による対応を継続し、有効性を検討した。一連の研究を通じ、いわゆる博物館施設だけではなく、一般的に微生物のコントロールが難しい場所でのカビの制御法に一定の方向性を見出すことができた。
保存科学