研究課題/領域番号 |
23300329
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 財団法人 元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
川本 耕三 財団法人 元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10241267)
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研究分担者 |
植田 直見 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10193806)
大国 万希子 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 技師 (40250352)
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キーワード | 凍結乾燥法 / 出土木製品 / マイクロ波加熱 / クラック |
研究概要 |
凍結乾燥法は、出土木製品をポリエチレングリコール水溶液に40%程度まで含浸し、残りの水分を凍結乾燥により取り除くことによって行われる保存処理法である。 本来、凍結乾燥法は、(1)加熱工程が無いため、熱で変形・収縮し易い脆弱な遺物に適し、(2)遺物内水分の大部分を薬剤に置換する処理法より短期間でできるため、大きな遺物に適する。しかし、実際は処理が進むにつれて遺物表面と内部の含水率の差が大きくなるため、遺物が乾燥し過ぎると表面に細かいクラックを生じ、乾燥が不十分だと処理後、内部に局在した水分が溶け出す。 そこで、凍結乾燥時に水分に昇華エネルギーを与えて均一な乾燥を図り、遺物をより良い状態で後世に伝えるため、下記の装置を製作した。 目標とする性能等は、凍結乾燥処理についてよく知る各地の文化財関係機関から話を伺い、それを参考にして決定した。 マイクロ波加熱凍結乾燥装置 ・チャンバー:円筒横型φ1000×1800mm、庫壁温度-30℃、到達圧力10torr以下 ・マイクロ波加熱装置:マグネトロン周波数2450MHz、出力2kW、導波管1本 ・コールドトラップ:円筒横型φ400×800mm、庫壁温度-50℃、2基 装置設置後、マイクロ波加熱凍結乾燥装置の動作を確認し、運転条件を検討している。また、併せて収集した出土木材(流木等)の含水率測定、樹種同定、寸法測定を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究費補助金の全額交付の遅れを含む震災等の影響により、マイクロ波加熱凍結乾燥装置のパーツ入手難による装置製造の遅れ、および、文化財資料の凍結乾燥法による保存処理についての聞取り調査の時期の遅れが生じたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロ波加熱凍結乾燥装置の運転条件の検討、出土木材(流木等)の含水率測定、樹種同定、寸法測定を行なっている。 今後は計画の遅れを取り戻し、出土木材の類型別運転条件による処理結果の比較を数多く行なっていく。
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