研究課題/領域番号 |
23300329
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
川本 耕三 (財)元興寺文化財研究所, その他部局等, 研究員 (10241267)
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研究分担者 |
植田 直見 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10193806)
大国 万希子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, その他 (40250352)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 文化財 / 出土木製品 / 保存処理 / 凍結乾燥法 / マイクロ波 |
研究概要 |
1.本凍結乾燥機のマイクロ波誘電加熱装置を除く部分の基本的性能について、実際に出土木材の凍結乾燥処理を行い確認した。試料の体積が大きくて含水分量が多い場合に、夏期の外温度上昇に伴いチャンバーやコールドトラップの冷却温度(それぞれ仕様は-30℃、-50℃)や到達真空度(同10パスカル)が不足し、十分な凍結乾燥効果を得られない場合があった。 そのため、クーリングタワーを設置して真空ポンプの冷却を促進し、真空ポンプへの大量の水分の流入に対応できるよう大型オイルミストトラップを設置した。また、より多くの水分を補足できるようにコールドトラップへの着氷分布を改善するための冷却経路の変更を行った。 2.高真空下でマイクロ波誘電加熱を行うと、装置の運転中に遺物内部温度測定用熱電対ケーブルおよびマイクロ波導波管のタンク導入部でマイクロ波誘電加熱にともなうプラズマの発生がみられた。プラズマが発生するとその部分が加熱されて高温になり装置を破壊する場合がある。 そのため、まず、チャンバーにピラニー真空計と観察窓を増設してチャンバー内の真空度をきめ細かく測定し、プラズマの発生を観察できるようにした。次に、遺物内部温度測定用熱電対のケーブルに発生したプラズマに対しては、ケーブルをアルミテープで被覆し導電性の接着剤を使って庫壁に貼り付け、概ね100パスカル程度での帯電抑制効果を得た。さらに、マイクロ波導波管のタンク導入部加熱に対しては、石英製窓ガラス取り付け部ガスケットの種類と厚みを変更して対応することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.初年度(平成23年度)途中に補助金総額減額の可能性が生じた。本研究では実験装置作製費用が多くを占めるため、仕様を決定して業者へ発注する作業が遅れた。 2.高真空下でのプラズマの発生は予測していたが予想以上に困難で、これを克服するために多くの時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
漸く出土木材でのマイクロ波加熱凍結乾燥の実験を行うことができる段階に来たので、今後は地道に個々の実験を行い、遅れを取り戻したい。
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