研究概要 |
平成24年度は,北海道日本海沿岸,三陸海岸,房総半島,能登半島の岩石海岸を中心にして,国土地理院発行縮尺1/25,000地形図および1970年代国土地理院撮影の縮尺1/10,000カラー空中写真の地形判読によって,現成・離水潮間帯波食地形の抽出・マッピングを行い岩石海岸カタログを作成するともに,離水年代試料の採取・地形断面測量を行った(研究分担者および連携研究者で分担対応)。1)北海道の日本海沿岸では,北から羽幌海岸,増毛山地西岸,積丹半島西岸,寿都湾沿岸,狩場山地沿岸において調査を行った。完新世離水海岸地形のレベルは,多いところで3つ(寿都湾沿岸,8m,4m, 2m 弱),通常は2~1つ(5mと2m前後)である。現世波食棚の発達の良い,積丹半島西岸,寿都岬周辺,狩場山地西岸幅は次期地震隆起の可能性が大きい地域と判定される。2)三陸海岸では,北部海岸において完新世離水海岸地形のレベルを2つ(5m,1~2m)に見いだし,間欠的な地震性地殻変動に伴う隆起が少なくとも2回(4800前以前と以後)あったことが示唆される。地震後,地震間の変動を考慮すると一回の隆起量は5m程度となる。このような海岸の地震隆起は,震源断層は沖合20kmほどの逆断層を想定することで説明できる。3)房総半島南部では,内房北部海岸(鋸山周辺)において少なくとも10レベルの完新世離水海岸が確認された。7000年前の最高位旧汀線高度はここで再度大きくなり20mを超えており,累積性が認められる。これらの変動は内陸活断層の運動(三浦半島側の北武断層の東延長)による隆起が付加して形成された可能性がある。4)能登半島では,完新世離水海岸地形のレベルは最大3つ(東端の禄剛岬,6m,4.8m,4m)認められ,高度変化に対応する沖合の海底活断層セグメントが4つ想定される。
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