研究課題/領域番号 |
23300338
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
高田 将志 奈良女子大学, 文学部, 教授 (60273827)
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研究分担者 |
相馬 秀廣 奈良女子大学, 文学部, 教授 (90196999)
出田 和久 奈良女子大学, 文学部, 教授 (40128335)
宮路 淳子 奈良女子大学, 人間文化研究科, 准教授 (30403322)
堀 和明 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (70373074)
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キーワード | 古代日本 / 自然環境基盤 / 平城京 / 奈良盆地 / 完新世 |
研究概要 |
本研究では、奈良盆地とその周辺域において、既存の遺跡発掘報告書やボーリングデータも利用しながら、独自にボーリングや地層抜き取り調査を行う。そして、粒度分析や花粉分析などのオーソドックス手法に加え、シークエンス層序学や単粒子OSL年代測定などの新しい手法も組み合わせつつ、完新統の堆積層解析を行う。そして、古代日本成立期の自然環境基盤について、その舞台の中心となった奈良盆地とその周辺域からどのようなデータが得られるのか、そしてそこからどのような自然環境像を読み取ることができるのか、について明らかにする。そのため、本年度は以下のような調査研究を実施した。 本年度は、初年度であることも踏まえ、まず、各メンバーの役割分担に対応した基本資料・情報の収集に努めた。この過程で、たとえば、奈良盆地で実施されている過去の遺跡発掘情報を、橿原考古学研究所発行の奈良県遺跡調査概報から各年次毎に遡ることで、浅層堆積物の時系列変化も追えそうであることがわかってきた。これと併せて、研究グループメンバー間での情報共有を目的に、9月に研究ミーテングを行った。現地調査関連では、奈良盆地で実施された遺跡発掘現場で各種の堆積層サンプリングを行い、14C年代測定を実施した。また、橿原考古学研究所の発刊する遺跡発掘概報から、発掘現場の位置情報と堆積層の年代観に関するデータ収集を行った。その結果いくつかの発掘現場で、洪水堆積物や流路跡を示す堆積物を観察・試料採取することができた。これらの試料については、OSL年代測定によって時代決定を行うことで、前述の14C年代値と併せて、河川堆積物の時系列変化を追うことができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、研究グループでミーティングを実施し、情報共有を行いつつ、各担当者が基礎的情報収集につとめ、おおむね次年度以降の見通しを得ることができるようになった。東日本大震災の影響で、年度当初の段階で予算執行の見通しがつきにくく、地層抜き取りやボーリング調査関連の調査予定がつきにくかったため、この点に関しては、次年度以降に集中して実施することにしたが、総合的にみるとおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、東日本大震災の影響で年度当初の段階で予算執行の見通しがつきにくく、地層抜き取りやボーリング調査関連の調査予定が立てにくかったため、この点に関しては、次年度から本格的に開始することとした。また、初年度に行った基礎的情報の収集についても引き続き実施して、その充実化を図るが、今年度はさらに現地調査の比重を大きくすることを計画している。
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