研究課題/領域番号 |
23300338
|
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
高田 将志 奈良女子大学, 研究院人文科学系, 教授 (60273827)
|
研究分担者 |
出田 和久 奈良女子大学, 研究院人文科学系, 教授 (40128335)
宮路 淳子 奈良女子大学, 研究院人文科学系, 准教授 (30403322)
堀 和明 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70373074)
光石 鳴巳 奈良県立橿原考古学研究所, 埋蔵文化財部, 研究員 (70263548)
相馬 秀廣 奈良女子大学, 研究院人文科学系, 教授 (90196999)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 古代日本 / 自然環境基盤 / 平城京 / 奈良盆地 / 完新世 |
研究概要 |
本研究では、奈良盆地とその周辺域において、既存の遺跡発掘報告書やボーリングデータも利用しながら、独自にボーリングや地層抜き取り調査を行い、粒度分析や花粉分析などのオーソドックス手法に加え、シークエンス層序学や単粒子OSL 年代測定などの新しい手法も組み合わせつつ、完新統の堆積層解析を行う。そして、古代日本成立期の自然環境基盤について、その舞台の中心となった奈良盆地とその周辺域からどのようなデータが得られるのか、そしてそこからどのような自然環境像を読み取ることができるのか、について明らかにすることを目標としている。 2年目に当たる本年度は以下のような調査研究を実施した。すなわち、まず、各メンバーの役割分担に対応した基本資料・情報の収集を継続した。この過程で、奈良県立橿原考古学研究所の発行する『奈良県遺跡調査概報』などから、奈良盆地内における遺跡発掘情報を抽出し、GISで解析するための作業を進めた。また、奈良盆地で実施された遺跡発掘現場で各種の堆積層サンプリングを行い、14C年代測定とともに、OSL年代測定を実施した。その結果、洪水堆積物や流路跡を示す堆積物の時代決定がある程度進んだことで、河川堆積物の時系列変化を追うことができるようになってきた。なお、当該年度内に奈良盆地内でボーリング掘削調査を実施するための地点選定を行い、用地交渉などの準備を進めたが、地権者との関係などから、掘削自体は次年度に実施することにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度中に実施する予定であったボーリング掘削調査は、地権者との関係から、平成25年度に実施することとなった点で、やや計画の実施が遅れている。この点に関しては、新年度早々にも実施して、研究課題の遂行に大きな支障が出ないようにしたいと考えている。また、遺跡発掘現場等から収集した堆積層試料については、相当数のC14年代値が得られつつあるが、考古遺物の年代観と整合しないデータも少なからず存在する関係で、その解釈が難しい場合も出てきている。この点を克服するためにOSL年代測定なども予定より多くの堆積層試料で実施することが必要になってきているため、試料処理に予想よりも多くの時間が必要となってきている。平成24年度には、ドイツからのPD研究者が来日し、当該研究課題にかかわる堆積層解析を協力して実施したため、この点に関しては、かなりの進捗もあった。平成25年度は、研究代表者および研究分担者の指導大学院生などによる研究協力体制を強化しながら、堆積層解析に関する処理作業を効率的に実施したいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
当該研究課題の3年目にあたる平成25年度は、平成24年度に引き続き、各メンバーの役割分担に対応した基本資料・情報の収集を継続する。この過程で、平成24年度同様、奈良県立橿原考古学研究所の発行する『奈良県遺跡調査概報』などから、奈良盆地内における遺跡発掘情報を抽出し、GISで解析するための作業を更に進める。奈良盆地で実施される遺跡発掘現場における各種堆積層サンプリングも引き続き行い、14C年代測定とともに、OSL年代測定を更に進める。また、平成24年度に準備を進めたボーリング掘削調査については、4~6月の年度当初に大和郡山市馬司において実施し、得られたコアに関して、層相記載、写真撮影、色調測定、キューブ試料採取、軟X線撮影用試料採取、粒度分析用試料採取、年代測定用試料の抽出、などを実施する予定である。これらのコア解析にあたっては、周辺の遺跡調査情報も加味しながら、さらなる分析項目の追加なども検討したいと考えている。なお、年度後半においても、奈良盆地内の別の地点において実施することも検討したい。
|