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2011 年度 実績報告書

腫瘍悪性化分子機構の解明と癌制圧に向けた診断・治療への展開

研究課題

研究課題/領域番号 23300347
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

吉田 清嗣  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (70345312)

キーワードDNA傷害 / ユビキチン化 / アポトーシス / プロテオミクス
研究概要

これまでに我々は、DYRK2の多くは細胞質に局在しており、DNA傷害などのストレスを受けると核に移行しp53などをリン酸化することを見出している。その後の解析から、DYRK2は核に移動するのではなく、ストレス刺激により核内DYRK2の恒常的分解が抑制されるという知見を得た。その具体的なメカニズム解明を目的としてDYRK2の機能解析を進めたところ、DYRK2はATMによって制御されていることが判明した。具体的には、DNA損傷に伴ってATMはDYRK2のThr33とSer369をリン酸化し、DYRK2を活性化するだけでなく、DYRK2の核内での安定化にも寄与していることが明らかになった。さらにDYRK2は核内にも存在するが、MDM2によって恒常的にユビキチン化され分解されていること、DNA損傷後ATMによるThr33のリン酸化によってMDM2がDYRK2から解離し分解が抑制されることを見いだした。そしてこの制御がDNA損傷におけるp53依存性アポトーシス誘導に本質的なステップであることが示された。以上の結果から、DYRK2は細胞質だけでなく核にも存在しているが、核内DYRK2はMDM2によって恒常的に分解されており、DNA損傷によってATMによるリン酸化を受け核内で安定化し活性化され、p53をリン酸化しアポトーシスを誘導するというモデルを提唱した。さらにDYRK2の分解に関わる新たなユビキチンリガーゼを同定することを目的として、質量分析計を駆使したDYRK2の会合分子の網羅的探索に着手しているが、今までのところ候補分子は見出せていない。しかし、DYRK2の新たな機能に関わると考えられるいくつかの会合分子が同定されたため、会合様式を調べながら機能解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DYRK2の細胞内局在制御機構を解明するという当初の目標は果たせたため。

今後の研究の推進方策

引き続きDYRK2の会合分子同定と機能解析を推進すると共に、DYRK2の新たな機能の発見も視野に入れて、研究を展開していく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] DYRK2 priming phosphorylation of c-Jun and c-Myc modulates cell cycle progression in human cancer cells2012

    • 著者名/発表者名
      Taira, et al
    • 雑誌名

      J Clin.Invest.

      巻: 122 ページ: 859-872

    • 査読あり
  • [雑誌論文] PKCdelta regulates Mdm2 independently of p53 in the apoptotic response to DNA damage2011

    • 著者名/発表者名
      Hew, et al
    • 雑誌名

      Mol.Carcinog.

      巻: 50 ページ: 719-731

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of Evi-1 as a novel effector of PKCdelta in the apoptotic response to DNA damage2011

    • 著者名/発表者名
      Hew, et al
    • 雑誌名

      Biochim.Biopbys.Acta

      巻: 1803 ページ: 285-294

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞死誘導と細胞周期制御による発癌抑制の分子機構2012

    • 著者名/発表者名
      吉田清嗣
    • 学会等名
      第3次対がん10か年総合戦略・文科省がん支援活動合同公開シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-01-31

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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