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2012 年度 実績報告書

腫瘍悪性化分子機構の解明と癌制圧に向けた診断・治療への展開

研究課題

研究課題/領域番号 23300347
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

吉田 清嗣  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70345312)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワード細胞周期 / 癌 / リン酸化酵素
研究概要

転写因子であるc-Junやc-Myc は細胞周期制御に必須であることが知られている。c-Junやc-Myc はプライミングリン酸化を受けると、引き続いてGSK3betaによるリン酸化が誘導され、さらにユビキチンリガーゼFBW7がリクルートされてc-Junやc-Mycがユビキチン化されることで、プロテアソームによる分解が誘導される。このリン酸化を起点とした分解はG1期からS期への遷移に重要であり、分解異常が発癌や癌の進展と密接に関与していることは報告されていたが、そのプライミングキナーゼははっきりしていなかった。本研究で我々は、DYRK2と呼ばれるリン酸化酵素が、c-Junやc-Mycのプライミングリン酸化を担っていることを見出した。興味深いことに、DYRK2をノックダウンするとc-Junやc-Mycのプライミングリン酸化が顕著に減弱し、それに伴いc-Junやc-Mycの分解異常による蓄積が観察され、G1期の顕著な短縮に伴う細胞増殖が亢進した。さらにDYRK2を恒常的にノックダウンした乳癌細胞をマウスに移植し造腫瘍効果を調べたところ、コントロール細胞と比較して、明らかな造腫瘍能の増強が観察された。次に、ヒト乳癌組織におけるDYRK2の発現を検証したところ、乳管内乳癌と比べて浸潤性乳癌ではDYRK2の顕著な発現低下が認められ、一方でc-Junやc-Mycは発現上昇しているという逆相関現象が観察された。以上より、DYRK2はDNA損傷に応答して細胞死を誘導する一方で、G1/S期の遷移を制御することで細胞周期調節にも寄与しており、発癌抑制に貢献している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目標としていたDYRK2の基質を複数同定し、その生物学的及び病態生化学的意義を明らかにし、論文発表に至ったから。

今後の研究の推進方策

DYRK2のさらなる新規基質の同定を推進すると共に、プライミングリン酸化で制御されている新たな基質の同定も進めていきたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] DYRK2 priming phosphorylation of c-Jun and c-Myc modulates cell cycle progression in human cancer cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Naoe Taira
    • 雑誌名

      J. Clin. Invest.

      巻: 122 ページ: 859-872

    • DOI

      10.1172/JCI60818

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Programmed cell death 6, a novel p53-responsive gene, targets to the nucleus in the apoptotic response to DNA damage.2012

    • 著者名/発表者名
      Kazuho Suzuki
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: 103 ページ: 1788-1794

    • DOI

      10.1111/j.1349-7006.2012.02362.x.

    • 査読あり
  • [学会発表] DYRK2 phosphorylation of c-Jun/c-Myc controls tumor progression by monitoring G1/S transition.2013

    • 著者名/発表者名
      Kiyotsugu Yoshida
    • 学会等名
      1st International Symposium on Protein Modifications in Pathogenic Dysregulation of Signaling
    • 発表場所
      Tokyo, Japan
    • 年月日
      20130201-20130202
    • 招待講演
  • [学会発表] Role for DYRK2 in cell cycle control and tumor progression.2012

    • 著者名/発表者名
      Kiyotsugu Yoshida
    • 学会等名
      MMC2012
    • 発表場所
      Bangkok, Thailand
    • 年月日
      20121219-20121222

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公開日: 2014-07-24  

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