本研究は大腸がんの発生・進展におけるPLEKHG1の役割の解明を目指した。Plekhg1-/-; Apc+/Δ716複合変異マウスでは、Apc+/Δ716マウスと比較して直径3 mm以上の大腸ポリープ数が有意に多かった。in situ hybridization法により、腸管ではPLEKHG1の発現は主に腸上皮細胞に認められた。一方、大腸がん細胞に上皮間葉転換(EMT)を誘導するとPLEKH1の発現が著しく増加し、大腸がん細胞株にPLEKHG1を強制発現させるとマトリックス浸潤能が亢進した。PLEKHG1は大腸がんの発生初期過程では抑制的に働くが、浸潤・転移は促進する可能性が示唆された。
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