研究課題
神経芽腫では約1割においてALK受容体キナーゼの遺伝子変異や遺伝子増幅による活性化が見られ、その発生や進展に関わることが明らかになっている。ALK活性化の神経芽腫特異的なシグナル経路を明らかにするため、TNB-1細胞にFLAGタグ付きの野生型、F1174LおよびK1062M変異体を発現させた細胞株を樹立して、野生型及び変異型ALKに結合するチロシンリン酸化蛋白質を解析した。同定された約30の蛋白質のうちIRS1、SOS1、Grb2、ZO-1など幾つかについては、ALKとの結合がリンパ腫など他の系でも報告されており、この手法でALK結合蛋白質が確かに同定されていることが示唆された。新たにALKに結合するリン酸化蛋白質として同定したFlotillin-1(FLOT1)はその発現量の低いことが神経芽腫の予後不良と関わることから、ALKとの関わりで機能解析を進めた。その結果、ラフトに局在するFLOT1はALKと選択的に結合しエンドサイトーシスを介してALK蛋白質の分解に関わることを示した。また、神経芽腫で見られるF1174Lなど幾つかの変異に関して、変異型ALKとFLOT1との結合能が野生型に比べ著明に減少しているのが確認された。一方で神経芽腫でFLIOT1の発現をノックダウンにより抑制すると、細胞運動能、足場非依存性増殖、ヌードマウスにおける造腫瘍能などが増加するという結果も得られた。以上のことからFLOT1の発現低下やFLOT1との結合能が低いALK変異によりALK蛋白質の安定性が増すことが神経芽腫のがん化シグナルの増強に関わる可能性が示唆された。この結果は、ALK蛋白質の発現量が遺伝子変異の有無にかかわらず神経芽腫の予後不良に関わるという解析結果とも整合性が有り、今後FLOT1低値の神経芽腫においてALK阻害剤が治療に有効であるかを検証する必要がある。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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