研究課題
癌細胞表層の糖鎖を標的とした抗体を調製し、構造解析用試薬、検査薬、さらに治療薬として使用することを目的として本研究を遂行している。白血病細胞表層に特異的に発現している糖鎖を腫瘍マーカーおよび抗体(免疫)療法のターゲット抗原としてとらえ、腫瘍細胞から抽出・分画する微量糖鎖を直径50μm程度の光ファイバーの先端に固定化したシュガーチップと局在プラズモン共鳴法(LPR)を用いたスクリーニング法を用い、ファージ・ディスプレイ法によって、それら糖鎖に特異的に結合する1本鎖抗体(scFv)を発現しているファージ(ファージミドベクター)群を選別し、さらにscFvを産生・蓄積する。対象とする白血病細胞としては、まず成人T細胞白血病(ATL)細胞から開始し、他の白血病細胞へ展開する。これらによって、ファージミドベクターとscFvのプール(目標数:各々100)が得られ、同時に使用した細胞の特徴的な遺伝子や患者の症状を調べて、データベースを構築し、オーダーメード治療用の抗体医薬の開発に応用する。また、scFvを固定化した蛍光性の、または近赤外光で発光するナノ粒子を開発し、白血病患者の早期発見のための検査薬を創製する。この研究戦略に従って、本年度はライン化ATL細胞(SIT)由来O-型糖鎖に対するscFv発現ファージのスクリーニングをおこない、SITには結合するが、ATLではない白血病細胞株MOLT4には結合しないscFvを3種類単離できた。また、超低毒性の蛍光性ナノ粒子の調製法を確立し、また糖鎖や蛋白質の固定化にも成功した。
3: やや遅れている
細胞からの糖鎖の切り出し、ファイバー型シュガーチップへの固定化、それを用いたスクリーニング法など方法論は確立できた。しかし、ファージからscFvを産生させ単離・精製すると、scFv自体の安定性が低下し、細胞との結合活性が著しく低下する場合が多いことがわかってきた。そのため、活性のあるscFvは3種類ほどしか単離できなかった。しかし、以下の通り解決法がわかったので、今後はペースを上げることができると考えている。
上述の問題点は、scFvを単離せず、まずファージに担持させた形で細胞との結合活性を調べ、結合するファージのscFv部分の遺伝子解析を行う事によって解決する。活性を持ちかつ遺伝子の異なるファージを多数選択することにより、ATL患者由来の細胞との結合実験を直接行うことも可能となる。蛍光性ナノ粒子については、予定どおり研究を進める。
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