研究課題
本研究では第一にATL 細胞表層の糖鎖に特異的に結合する一本鎖抗体 (scFv) を調製した。まず、ATL患者から樹立したS1T細胞の表層からO型糖鎖を切り出し、BlotGlyco 法によって捕捉、独自開発の蛍光性リンカーで糖鎖を修飾した。3つのフラクション分画し、各フラクションを、先端を金ナノ粒子で表面修飾した光ファイバーに固定化して、ファイバー型シュガーチップを調製した。このチップを用いて、ヒトB細胞由来のナイーブ一本鎖抗体(scFv)ファージライブラリからファージのスクリーニング(バイオパニング)を行い、非ATL白血病細胞であるMOLT4 細胞に結合せず、S1T 細胞に強く結合する1クローンのscFvを得た。このscFvは、ATL細胞(MT2、 K3T、 su9T01)に高い結合性があり、非ATL細胞(HL60、 CEM、 Jurkat)では、ほとんど結合性がない、または低かったことから、ATLに優先的に結合していることが示唆された。しかし、PBMCにも結合することが分かったため、スクリーニングの際にPBMC由来の糖鎖を固定化したビーズを用いたネガティブセレクションを組み入れて、さらに実験を進めている。蛍光性ナノ粒子(FNP)は、主に半導体無機材料からなる直径数ナノメートルの粒子状の物質で、紫外線の照射により強い蛍光を発する。本研究では、ATLの新規の診断ツールの開発をも目指し、FNP上にscFvを固定化したscFv固定化FNP(scFv-FNP)の開発を行い、ATL細胞に対する結合性について評価した。すなわち、scFvをNTA、ニッケル、Hisタグを介して固定化したscFv-FNP は、FACS解析と共焦点顕微鏡による蛍光観察により、再現性よく、S1T細胞に結合性を示し、非ATL細胞であるCEM細胞には結合性を示さなかった。この研究結果に基づき、より低毒性の金属で構成されたナノ粒子を用いたscFv-FNPの開発と、これらを用いたATL診断薬・プローブとして応用を図る。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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