研究課題/領域番号 |
23300361
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
西井 龍一 宮崎大学, 医学部, 講師 (60463212)
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研究分担者 |
東 達也 滋賀県立成人病センター研究所, 画像研究部門, 総括研究員 (50324629)
加川 信也 滋賀県立成人病センター研究所, 画像研究部門, 主任研究員 (10393191)
川井 恵一 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30204663)
水間 広 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ機能評価研究チーム, 研究員 (00382200)
長町 茂樹 宮崎大学, 医学部, 准教授 (40180517)
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キーワード | ヒストン脱アセチル化酵素 / PET画像診断 / 癌 / 分子標的 |
研究概要 |
遺伝子発現過程で重要なピストン蛋白の脱アセチル化反応に着眼し、その酵素:HDACの基質となるPET診断薬:^<18>F-FAHAを新規合成し、癌組織内HDAC活性のBiomarkerとなるPET診断法を開発する。SAHAなどのHDAC酵素阻害剤は分子標的抗癌剤として注目され、18F-FAHA-PETは、癌の早期診断や、HDAC酵素阻害剤による治療効果予測や治療後効果判定などを可能にし、HDAC酵素阻害剤による癌分子標的治療に大いに寄与すると期待される。平成23年度の研究成果は以下の通りである。平成22年度の成果をふまえて、それぞれの検討項目をさらに詳細に検証した。 (1)正常マウス脳切片や腫瘍細胞を用いた薬剤集積実験を昨年度に引き続き検討継続を行い、 18F-EAHAは生体内でHDACの基質となり腫瘍への集積・滞留することが確認された。 (2)また動物実験では、18F-FAHAは投与後速やかに体内HDACとの反応により18F-フルオロ酢酸(18F-EACE)、に代謝されることがTLCやHPLCを用いた代謝物解析検討で確認された。 (3)サルを用いた画像化検討、薬剤の肝、腎への集積排泄が認められた他、脳集積も認められた。薬剤動態検討や臨床使用時の放射線被曝予想シミュレーションの結果、ヒトに18F-FAHA3.7MBq/kgを投与しても、現在臨床応用されている18F-FDG PETと同程度の被ばく線量であることが算出され、18F-EAHA PETの臨床応用への期待が確認された。(5)実験動物の加齢や脳代謝の変化、また脳血管障害モデル動物の脳代謝変化と18F-FAHA脳神経集積変化の関連が脳内HDACの局在と活性と密接に関連していることを示唆するデータが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
18F-FAHAの安定合成はほぼ達成している。動物における18F-FAHAの代謝物解析検討は順調にすすんでいるが、主な生体内代謝物である18F-フルオロ酢酸の組織内の挙動、代謝については更なる検討が必要である。18F-フルオロ酢酸についてはそれ単独のPET画像検査として臨床応用開始している。その結果もふまえ18F-FAHAの安全性試験を行うことにする。
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今後の研究の推進方策 |
1臨床応用に向けた18F-FAHA合成法の検討継続 2サルを用いた18F-FAHA PET画像化検討、代謝解析、安全性試験の継続 318F-フルオロ酢酸の画像化検討、代謝解析検討 418F-FAHAの集積機序、代謝物解析
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