研究課題
最終年度には、越境汚染大気を観測するのに適した立地条件である、鳥取大学・乾燥地研究センター(鳥取市)にて、6月中旬から約1ヶ月間、大気中の粒子状アンモニウム塩・ガス状アンモニアの連続観測を行った。ここでの観測項目は、ガス態・粒子態のアンモニア態窒素、SO2、CO、PM10/2.5濃度、粒径別エアロゾル数濃度、CN濃度、黒色炭素エアロゾル濃度であり、昨年度まで行っていた石川県羽咋市での観測項目とほぼ同等である。今年度は、梅雨時~初夏にかけての越境汚染を狙った。集中観測の期間中に、風速が弱くて日射量が多い日は12日間あった。このような海陸風の発達しやすい日に絞って解析した結果、海風にあたる西~北風の条件ではガス態アンモニアの濃度が高く、逆に陸風時には濃度が下がっており、初夏にも越境汚染により日本へガス態アンモニアが輸送されてきている可能性が示唆された。ただし、そのような時間帯における後方流跡線としては、必ずしも中国・韓国からのみではなく、九州や西日本をかすめて輸送されているようなケースもあったので、越境汚染の寄与量についてはさらに解析を進める必要がある(長田)。一方、無機・有機全硝酸を含めた窒素酸化物の包括的連続観測は、今年度も能登半島珠洲で継続した。珠洲における大気中の窒素酸化物の構成成分としては、2013年の冬季~夏季の期間ではNOxと有機・無機全硝酸とでほぼ100%を説明できることがわかった。無機・有機全硝酸の存在比については、冬季は無機よりも有機全硝酸のほうが高かったが、季節が進むにつれて、両者の割合が逆転した。この理由としては、有機全硝酸は春季~夏季に、気温の上昇や光化学反応の活発化で寿命が短くなること、無機全硝酸については日本海側の降水による湿性沈着により、冬季における寿命が短いことが挙げられる(定永)。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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