研究課題/領域番号 |
23310006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 けんし 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (10303596)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | メタン / 地球温暖化 / レーザー分光法 / 高感度計測 / フラックス / 植生 |
研究概要 |
まず、差周波光源の開発を実施した。周期分極反転型LiNbO3結晶を用いた導波路型波長変換デバイスにより、3300nmから3400nm付近におけるメタン分子の12Cと13Cのスペクトル計測を行った。スペクトルの計測には、LiNbO3結晶の素子温度制御と、シグナル光として用いている半導体レーザーの波長掃引による方法とが考えられるが、より精密かつ安定した波長制御のためには、後者の方法が有利であることが分かった。半導体レーザーへの注入電流をファンクションジェネレータによりディザリングしつつ、長光路セルからの出力光強度をインジウムアンチモン(InSb)素子により検出した。InSb素子からの出力をロックインアンプへ導入して2f検波を行った。メタンの検出に適切な回転線は、2前年度までに精査済みのHITRANデータベースの情報を参考にした。メタン分子の3300nm付近における振動回転線は、状態密度が高いため、なるべく高いエネルギー分解能の光源が必要であることはもちろん、ガス試料の減圧によるスペクトルの圧力広がりの抑制が重要となる。そこで、セル内全圧を1.4 kPaまで減圧し、12Cと13Cのメタンのスペクトルを分離することができた。長光路セルや反射防止コーティング付きの特殊光学ミラーは、除振効果のあるボード上に配置し、外部からの振動による計測への干渉を防いだ。 さらに、フィールド実験により、閉鎖循環型チャンバー法を用いて12CH4のフラックスを計測した。計測は、滋賀県大津市にある京都大学桐生水文試験地にて実施した。閉鎖循環型チャンバーは通常は大気開放されているが、フラックス計測時のみカバーを閉じて閉鎖系とした。微粒子除去のフィルターを経由して、質量流量制御器とダイヤフラムポンプを用いて循環系の流量を 1.8 L min-1程度に安定制御した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィールド試験中に落雷によると思われる機器の不具合が発生したものの、雷サージ保護機能付きの無停電電源の利用や、測定機器のボードの交換等により、当初計画を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
メタン分子の計測感度の向上と、同位体比計測の安定化を目指して、システム改良を進める。また、植生からのメタンフラックスの計測を目指して、チャンバーシステムのフラックス計測精度の評価を行う。研究遂行上の問題は特にない。
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