本研究課題の実施計画は、既存動物プランクトン標本を基に、1)多量の植物プランクトンが混入している場合、動物プランクトンを選り分け正確な動物プランクトン量、および大きな分類群毎の個体数を計測し、動物プランクトン組成の長期変動を明らかにし、特に海氷分布との関係を解析する事、また2)日豪両国研究者間での定期的なワークショップを開催し、動物プランクトン組成変化について共同解析を進め、その研究成果を発表する事の2点である。 最終年度となる平成27年度は昭和基地沖における11標本の分析作業を実施した。これらの作業の支援のため学生を雇用するとともに、外部のプランクトン分析業者に委託して分析を進めた。これらの試料の分析結果を含め、昭和基地周辺海域にける海氷分布と小型動物プランクトンの鉛直分布に関する情報をまとめ、国際雑誌「Polar Biology」に投稿、受理された。また国内学会において口頭発表を行なった。 本研究課題でこれまでに分析作業を行った166試料のデータ、および得られた解析結果について平成28年1月に豪州南極局において、豪州が有するプランクトンデータとの研究成果統合について議論を行なった。特に日本南極地域観測隊がモニタリング観測を実施している南極海インド洋区の東経110度ラインのデータを解析した結果、小型カイアシ類の優占種2種が群集組成変化の指標種となることが示唆された。これらの解析結果は国際誌への投稿を準備中である。
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