研究課題
冷温帯落葉広葉樹林において大規模の窒素負荷実験を実施し、森林内での窒素と炭素のバランスを変化させた。炭素シンクとしての寄与が大きく環境条件への応答性も高いと予想される細根系に着目し、細根の形質特性と呼吸による炭素放出の関係を調査したところ、50kgN/ha/yrの窒素負荷によって根の組織密度が低下したが表層の細根量は増加傾向にあった。呼吸活性は根の細さや組織機密度と負の関係にあり、窒素降下量の増加が根系からの炭素放出量を増加させる可能性が示された。一方、主要樹種の葉形質に着目するとミズナラでは初年度の葉内C/N比の低下とともにセルロース含量や葉厚が低下する傾向にあり、食植生昆虫による食害程度は低下することが判明した。また、このような応答には樹種の違い(シラカンバ、ケヤマハンノキ)もみられることが判明した。一方、地上の複数の観測サイトで得られた窒素動態及び炭素収支データを解析するための陸域生態系モデル(BEAMS)の改良を行った。まず、土壌のC/N比バランスを安定させるため、各有機土壌プールからのN output量をプールのC/N比とC output量から決める式に改良した。バイオマス量は、炭素と窒素の分配、窒素摂取プロセスを改良した。水・エネルギー収支量は、経験的な水の浸透式をダルシー則に変更した。その結果、地上観測サイトにおける土壌C/N比やフラックスを概ね妥当な季節パターンで再現できた。そこで、改良モデルを広域解析に適用し、本課題の目標である炭素フラックス(GPP、NPP)を概ね妥当に推定できた。同時に、新たなモデル推定の課題として、窒素降下量が日本国内約60ヶ所の窒素降下量(酸性雨)観測データと異なることがわかった。降下量は生態系内の窒素循環をコントロールする重要な項目であることから、今後は降下量の精度向上につながる研究が必要である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (22件) (うち招待講演 2件)
Plant Ecology
巻: 215 ページ: 121-131
10.1007/s11258-013-0283-x
Freshwater Biology
巻: 59 ページ: 748-760
10.1111/fwb.12301
Remote Sensing
巻: 6 ページ: 2108-2133
10.3390/rs6032108
日本生態学会誌
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Acta Oecologia
巻: 51 ページ: 34-41
10.1016/j.actao.2013.05.011
Journal of Plant Ecology
巻: 6(5) ページ: 393-407
10.1093/jpe/rts037
Atmospheric Environment
巻: 69 ページ: 124-130
10.1016/jatmosenv.2012.12.004
Ecoscience
巻: 20(1) ページ: 55-64
10.2980/20-1-380
Basic and Applied Ecology
巻: 14 ページ: 480-488
10.1016/j.baae.2013.06.004
Ecology
巻: 94(12) ページ: 2873-2885
天気
巻: 60(5) ページ: 359-370
巻: 5 ページ: 6043-6062
10.3390/rs5116043
Ecological Research
巻: 28 ページ: 893-905
Soil Biology and Biochemistry
巻: 61 ページ: 105-108