研究課題/領域番号 |
23310016
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
谷本 浩志 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 室長 (30342736)
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研究分担者 |
角皆 潤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50313367)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 硫化ジメチル / 海洋化学 / 生物地球化学 / 気候変動 / 大気化学 |
研究概要 |
海水をフィルターでろ過してバイアル瓶に採取した後、水酸化ナトリウムを添加して最大48時間冷蔵保存したものを純窒素ガスでバブリングしてパージしDMSとして検出することでDMSPを測定するパージPTR-MS法を製作した。この際、DMSPがDMSに100%分解されていると仮定して海水サンプル中のDMSP濃度を求める。この方法をニスキンボトルにCTD採取された海水について適用し、 従来法であるP&T-GC/FPDと比較したところ、PTR-MSの方がGC/FPDよりも高いDMSP濃度を出す傾向がみられた。 連続測定であるEI-PTR-MS、連続的ではないがCTDサンプルも計測できるパージPTR-MS、従来法であるP&T-GC/FPD法を、いわゆる研究用海水とCTD採水された海水の二種類のサンプルについて比較した。海水サンプルが同じ時は測定方法が異なっても測定値が一致したが、海水が異なるときは測定方法に関わらず測定値が一致しないという傾向がみられた。これは、ニスキンボトルへのCTD採水時にDMSのアーティファクト(ろ過中のコンタミ・保管中の揮発など)がある可能性、または停船中の研究用海水はニスキン海水とは同じではない(例えば、停船中の研究用海水に何らかのアーティファクトがある)といった可能性を示唆しており、検出方法よりもむしろ採水方法とその後のサンプル処理方法に注意が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に当初計画した、(1) P&T-GC によるEI-PTR-MSのキャラクタリゼーション、(2) PTR-MSによる他の含硫黄化合物への応用、(3) EI-PTR-MSとP&T-GC/MSの国内相互比較実験による検証、の3つの計画のうち、(2)と(3)の2つは順調に遂行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
PTR-MSのアセトン計測へ干渉の評価は野外観測の都合上、年度内に行えなかったので、プロパナールやグリオキザールの試薬を用いて干渉の可能性を確認する室内実験を追加で行う。
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