研究課題/領域番号 |
23310017
|
研究機関 | 独立行政法人農業環境技術研究所 |
研究代表者 |
米村 正一郎 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 主任研究員 (20354128)
|
研究分担者 |
川島 茂人 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40354039)
岸本 文紅 独立行政法人農業環境技術研究所, 物質循環研究領域, 主任研究員 (60334033)
児玉 直美 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 任期付研究員 (60594611)
横沢 正幸 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 上席研究員 (80354124)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 生物地球化学 / 土壌圏科学 / 大気質変動 / モデル化 |
研究概要 |
本年度は、まず土壌ガス交換量自動測定システムの更なる改良を行った。土壌のCO2交換量を測定するために一定濃度のCO2をチャンバーに供給しているが、一旦CO2を除いている。CO2除去には試薬ではなく連続的にCO2を除去できる装置を導入することでメンテナンス製を高くした。また、大量に得られるデータを自動図化し、自動解析するプログラムをCO2データ、CO2安定同位体、CH4データ、H2,COデータについてUNIX上で作成した。 土壌とCO2との相互作業については、温度との関係のみならず熱力学的計算に資することが出来る濃度と発生吸収量との関係を求めた。さらに土壌ガス交換量自動測定システムをアエロダイン二酸化炭素同位体分析系を接続し、同位体分別の程度を調べた。 北極土壌について、この装置での測定を行い、CO2, CH4, CO, H2, NO, N2Oのガス交換量を測定した。北極土壌では低温の制御が重要であるが、氷点下でのCO2交換量を測定することを技術的に確立した。そして、動的温度制御が可能であるというシステムの長所を活かして、10℃⇒18℃⇒26℃⇒34℃⇒42℃温度ストレスをかけガス交換量の変化を明らかにした。最も影響が大きかったのがNOであった。短期的な温度変動に対しては、温度関数の大きな変化は見られなかった。なお、湿地土壌のガス交換特性を調べたが、酸素状況下ではメタンの発生はみられず酸素濃度を制御した実験が必要であることがわかった。また、来年度の実験に資するためマレーシアパソ森林サイトから土壌を採取し、基礎特定を調べた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
土壌ガス交換量測定システムを汎用的に様々な研究(様々なガス種、様々な土壌)に用いて結果を出してきている。そして、実験システムは故障時以外通年で動作し続けており次々に重要なデータを生み出している。また、同時にシステムの改良を積み重ねている。 初年度である昨年度は震災の影響で予算がどの程度つくかがわからかなかった。また、震災後の研究開始が遅れた。さらに、今年度は分析計群が様々な理由で故障が次々に起きた。しかしながら、よく挽回して、トータルとしては概ね順調に研究を推敲している。
|
今後の研究の推進方策 |
土壌ガス交換量自動測定システムを用いて土壌のガス交換現象について様々な発見をもたらす研究を行えることがわかってきた。そのため、今年度と同様に様々な土壌や条件に対して実験を継続する。そして、データが蓄積したもの(CO2と土壌の相互作用)については、プロセルを取り込んだモデル化を行う。また、逆に、様々な研究内容に関して研究が行えるため、これまで整備した2システムではまだまだサンプル数をこなすことが十分とは言えない。このためさらにチャンバーを加えるなどして、システムの改良・整備を行う必要がある。また、まだ手がけられているガス交換量相互の関係や肥料などの実験についても推進する。以上を考えて今後の研究の推進方針を具体的に以下とする。 ●極域土壌の実験結果を取りまとめる。 ●熱帯土壌のガス交換量特性を調べる。 ●肥料投入時のガス交換量の変化を調べる。 ●ガス交換メカニズムのモデル化を行う。
|