研究課題/領域番号 |
23310018
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
眞木 貴史 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 主任研究官 (50514973)
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研究分担者 |
永井 智広 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 主任研究官 (30343891)
出牛 真 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 研究官 (00354499)
梶野 瑞王 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 研究官 (00447939)
森野 勇 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (90321827)
新井 康平 佐賀大学, 工学系研究科, 教授 (10222712)
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キーワード | リモートセンシング / 対流圏オゾン / 大気質 |
研究概要 |
・ライダーグループ(佐賀大学ライダー) 佐賀大学に移設したオゾンライダーの送信部・受信部の詳細な調整を行った後、試験観測を開始した。3波長(276nm,287nm,299nm)同時発振で各出力が7mJ程度のレーザー、口径50cmの受信望遠鏡、光電子増倍管からなる検出部、アナログ・デジタル変換法及び光子計数法が同時にできる信号処理部を備えたオゾンライダーにより取得された観測データの予備解析を行った結果、高度1-6kmのオゾン濃度分布の観測が可能であることが分かった。 ・ライダーグループ(気象研究所ライダー) つくばの対流圏オゾンライダーを用いた観測について、送信光学系の一部変更や安定化を図って、高頻度観測により適した装置に改良した。送信用レーザーの消耗部品の交換、光学調整を行った後、改良した装置を用いた観測を行い、データを解析して観測結果の精度などを確認した。 ・モデルグループ(気象研究所) 全球化学気候モデル(MRI-CCM2)と気象研究所ライダーによる対流圏オゾン観測結果との比較を行い、成層圏や大陸からのオゾン流入イベントに関してモデルと観測が定性的に一致していることを確認すると共に、モデルの改良等を実施した。エアロゾルを4種のカテゴリに分類し、動力学プロセスを完全に非平衡で記述したオフライン領域化学輸送モデル(RAQM2)のプロトタイプを開発した。同モデルを全球化学輸送モデル(MOZART4)の月平均値を境界値として、国立環境研インベントリ(REAS)を用いて計算し、東アジア酸性雨モニタリングネットワークの大気中ガス・エアロゾル濃度等の観測結果と比較して整合性を検証した。 また、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の温室効果ガス観測センサの熱赤外(TIR)バンドからの対流圏オゾンカラム量の導出に成功した(大山、川上)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観測面ではつくばと佐賀における2地点で対流圏オゾン鉛直分布を観測できる体制を整えることができた。つくばに関しては高頻度観測態勢を整えることができ、佐賀に関しては上記の様々な調整を終えて実際にオゾン濃度分布観測が可能であることを確認できた。全球化学輸送モデルに関しては、ライダー観測と比較し、観測データが捉えた成層圏からのオゾン流入イベントなどをおおむね再現できていることを確認した。また、エアロゾルの動力学プロセスを非平衡で記述したオフライン版領域化学輸送モデルの開発に着手し、プロトタイプ版の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画はおおむね順調に進展しているので、当初予定の研究計画を推進する。ライダー観測に関しては、引き続きつくばと佐賀における対流圏オゾン観測を実施する。全球化学輸送モデル、領域化学輸送モデルに関してはモデルによる日々の計算結果をライダー観測グループに提供し、高濃度オゾンイベント等が予測された際に機動的に観測を実施できるようにする。オゾンライダーの観測結果に加え、衛星観測データ(GOSAT)等の観測結果も統合的に利用して高濃度オゾンイベントの解析を目指す。
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