研究課題/領域番号 |
23310019
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
忽那 周三 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究グループ長 (60344131)
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研究分担者 |
小池 和英 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (10356959)
瀬戸口 修 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00357328)
陳 亮 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 主任研究員 (70371060)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 沈着表面抵抗 / 水和反応 / 異相間物質移動 / アルデヒド / 大気質モデル / ヘンリー定数 / 気液界面効果 / pH |
研究概要 |
大気質モデルの沈着表面抵抗は、水への溶解性等のみを指標としたスケーリング係数を用いて推定されている。本研究は、アルデヒド類のスケーリング係数の改良方法を提案して大気質モデルの改良に資することを目的とする。本年度は、以下の成果を得た。 ・スケーリング係数の基準物質の二酸化硫黄について、ストリッピング法により土壌成分への沈着を吸着と分離して相対湿度20-90%の範囲で観察した。また、重量法により土壌成分の吸湿等温線を測定した。pF値が4~7の比較的乾燥した地表面に相当する実験条件下、吸着平衡定数は吸湿等温線から推定した水分量と土壌pHを考慮した有効ヘンリー定数の積に比例するが、沈着速度(表面抵抗の逆数)は比例しないことがわかった。 ・アルデヒドと7分子の水クラスターからなる水和反応モデルを構築した。ジオール生成を導くアルデヒドへの水素移動反応は、水分子の配向に依存し、段階的または協奏的反応の2つの異なるモデルで記述される。水素移動に直接関与する水分子の数は、協奏反応モデルでは3分子、H3O+イオン反応中間体を経由する段階的反応モデルでは3~5分子である。CH3CHO、H2CO及びCCl3CHOの水和反応の活性化自由エネルギーΔG‡(298K)及びジオール生成自由エネルギーΔG(298K)に対して、いずれのモデルも計算値と実験値の間に0.99以上の相関係数をもつ線形関係が成立することがわかった。この関係を用いてCF3CHOとC2F5CHOの水溶液中でのΔG‡及びΔG値を推算することができた。 ・二相フロー法により、アセトアルデヒドの水表面への物質移動係数を多重反射セル‐FTIRを用いて測定した。アセトアルデヒドの水表面への物質移動係数の気相及び液相攪拌の依存性を測定し、気相境膜と液相境膜がともにゼロになるよう制御した時のアセトアルデヒドの水表面への物質移動係数を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論計算に関しては概ね計画通りに進展している。一方、室内実験に関しては予想していたよりも実験の再現性の確認等に時間がかかったためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
グリオキサール、ホルムアルデヒドやフッ素化アルデヒド等について沈着表面抵抗の室内実験による観察データを蓄積する。また、関連物性データ(吸着平衡定数、ヘンリー定数)や表面水への物質移動係数等を測定すると共に、理論計算によりバルク内反応と界面反応の比較を行う。これら研究担当者各人の成果を共有することにより、沈着表面抵抗と関連物性データ等の相関(沈着表面抵抗のスケーリング係数に関わる相関)を明らかにし、スケーリング係数の改良方法を提案すると共に、アルデヒド類の大気中変換過程を見直すことを目指す。
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