研究課題/領域番号 |
23310027
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
梅津 千惠子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (40294251)
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研究分担者 |
櫻井 武司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40343769)
山内 太郎 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (70345049)
真常 仁志 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70359826)
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キーワード | 環境影響評価 / 環境政策 / レジリアンス / 農村開発 / 気候変動 / 対処戦略 / アフリカ / ザンビア |
研究概要 |
―この研究の目的はアフリカ農村社会に存在する多面的な対処機能をレジリアンスという観点から調査・分析し、旱ばつや洪水等の災害の復興や将来の気候変動に際して、世帯やコミュニティのレジリアンスを高める政策提言を行うことである。 ―ザンビアでは昨年からUSAIDが、 Zambia Economic Resilience Program for Improved Food Security(ZERS)」をスタートさせる動きがあり、開発分野での「レジリアンス」に対する関心が上昇している。ザンビアの地域レジリアンス研究のための既存データの整備を行った。また南部州農村地域での有用樹の利用についての聞き取り調査を行った。 ―ザンビア東部州の疎開林における野外試験の結果、耕作年数よりも降雨の年次変動が、収量に大きな影響を与えることがわかった。また、その降雨の年次変動による収量の変動の大きさは、開墾時に火入れを行うことで軽減されることも明らかとなった。 ―ザンビア南部州の旱魃常襲地帯の農村で、新たにデザインした天候インデックス保険の販売実験を行った。インドやマラウィで販売された類似の保険と比べて、購入した農民の比率が高く、その理由として保険の仕組みが簡単でわかりやすいこと、保険料率が割安であることが考えられる。 ―2011年8-9月にザンビア共和国南部州シナゾングウェ郡の農村部に居住する1-18歳の子ども1079名(男子549名、女子530名)を対象として詳細な身体計測を行った。このデータを基に成長チャートを作成したところ、対象集団の栄養状態は米国基準集団の5パーセンタイルに相当した。子どもの栄養不良が問題となっているサブサハラ地域でも最低水準であった。また、男子の栄養状態は女子よりも悪かった。50年前に同地域で行われた先行研究と比較したところ、対象地域の農村の集団の体格には時代変化はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・現地研究協力者の協力により南部州農村で来年度実施予定のセンサスの準備を実施した。 ・身体計測については1079名(男子549名、女子530名)のデータ収集が行われ、基礎データを充実させることが出来た。 ・研究成果の発表を学会やシンポジウムで行った。特にPlanet Under Pressure 2013など今後の地球環境変動研究の方向を定める重要な国際会議で研究成果を発表し、またそ研究成果の発表がポスター賞(日本農業経済学会)を受賞した。 ・研究協力者を追加し、体制を強化した。
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今後の研究の推進方策 |
・平成24年度はザンビア農業研究所の協力で南部州の調査村のセンサス調査を実施すると同時に天候インデックス保険の販売実験とその結果の分析を実施する。 ・調査村での身体計測調査も引き続きおこなう。さらに広域を対象とした地域レジリアンス分析を実施する。 ・ザンビア南部州および東部州のデータ分析を実施する。 ・平成24年度夏に、平成23年度に実施した農村世帯での身体計測の不足分データの収集を行い、成長曲線の基礎データとする。 ・有用樹についての調査を実施する。
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