研究課題/領域番号 |
23310027
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
梅津 千惠子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (40294251)
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研究分担者 |
櫻井 武司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40343769)
山内 太郎 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (70345049)
真常 仁志 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70359826)
石本 雄大 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (10521990)
宮嵜 英寿 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (30455232)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 環境影響評価 / 環境政策 / レジリアンス / 農村開発 / 気候変動 / 対処戦略 / アフリカ / ザンビア |
研究概要 |
・平成24年度は,ザンビア南部州および東部州で以下の研究を実施した。 ・平成23年度に実施した天候インデックス保険販売実験の結果を論文にまとめて発表する一方で,保険のデザイン(旱魃および大雨の基準)を変更して2回目の販売実験を行った。デザインの違いに由来するベーシス・リスクの差が保険需要に及ぼす影響について分析した。 ・シナゾングゥエ郡農村の子どもの身体計測(身長、体重、上腕囲、皮脂厚)を行い、2011年度の身体計測データで不足している年齢・性について補足した結果、2歳から19歳までの子ども1135名(男子576名、女子559名)のデータが得られた。米国集団と比較して、低身長、低体重であったが、体重を年齢で標準化した体格指標BMIでみると栄養状態は悪くはなかった。20年前、50年前の成長曲線と比較してみたが、子どもの成長状況には時代変化が見られなかった。 ・シナゾングゥエ郡農村の異なる生態環境下にある3サイトで有用樹利用について調査した結果、認識度はサイト間で異なり、そのアクセスは広範囲にわたって行われているもののおおむね500m以内の範囲であることが分かった。また、村落の形態が樹木あたりのアクセス世帯数に影響を及ぼしている可能性があることが分かった。有用植物の季節的利用について調査した。 ・東部州で実施している焼畑の圃場試験から、耕作中に土壌有機物の著しい減耗がおきていないこと、休閑中に土壌有機物の急激な増加はおこっていないことが観察された。アフリカ半乾燥熱帯に暮らす小農のレジリアンスに関してザンビアとの比較研究を行うため,西アフリカサヘル地域の事例に関して考察を行い,成果公表を行った。特に,食料確保および食料安全保障を分析対象とし,その変容やそこに織り込まれたレジリアンスについて議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・ザンビアでの研究協力者の協力が得られ、おおむね順調に進行している。 ・昨年度の研究協力者2名を今年度から研究分担者として追加し、研究体制を強化した。 ・基礎データとして現地研究協力者の協力により南部州農村でのセンサスを実施し、データの回収も行われた。 ・身体計測については不足データの収集が行われ、基礎データを充実させることが出来た。 ・研究成果の発表を学会やシンポジウムで行った。その中でポスター賞(日本農業経済学会、北大サステイビリティウィーク、World Water Week 2012)、及び学会誌賞(日本農業経済学会)を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
・平成25年度はザンビア南部州および東部州のデータ分析と論文発表を中心とする。ザンビアの研究者、行政官、国際機関やNGOスタッフとの研究成果に関する意見交換のためにルサカで8月に国際ワークショップを開催する。 ・2013年度夏に、農村世帯での身体計測と同時に子どもと女性(母親)の食事調査の本調査を実施する予定。 ・農村部における社会ネットワークに関する研究―物・現金・サービス授受の実態について分析する。 ・過去に生じた2度の多雨被害への対処行動から生態環境の異なる地域での適切な農業技術をみつけだすことができないか模索する。生態レジリアンスの解明に向けた圃場試験の成果をとりまとめ、論文等の形で公表する。 ・天候インデックス保険の販売実験とその結果の分析を実施する。2012/2013農作期はさらに広域を対象とした地域レジリアンス分析を実施する。
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