研究概要 |
産業構造と環境負荷を担当する小嶋は、Mukhopadhyay and Thomassin(2010)が2001年に対応したGTAPデータベース第6版モデルに基づいてシミュレーション分析を行った東アジア経済統合の経済・環境影響を、2004年に対応したGTAPデータベース第7版を用い、かつ海外への生産拠点移転や海外投資の影響を考慮して実施することを目的として、独自CGEモデルの開発を行った。本モデルは海外投資の影響を含めたFTAシナリオ分析を進めるツールになりうることが分かった。 道田が担当したEU製品環境規制のRoHS,REACHは製品中の化学物質の規制である。グローバルにすすむ貿易自由化のなか、これらの規制がアジア各国の規制政策、また企業活動に影響を与えていることが確認できた。企業への影響を踏まえ、アジア域内での規制政策の整合性を考慮する必要があることを指摘し、政策提言とした。 持続可能な発展経路を担当する植田は、弱サステナビリティ概念のGenuine Savingについて、査読誌論文で検討した。産業構造と環境負荷の担当の森は、環境ガバナンスの視点から、民主化と分権化についての比較分析を行い、アジアの研究者と論文集を出版した。A.Mori ed., Democratization, Decentralization and Environmental Governanace, Kyoto University Press, 2012. 全体総括担当の吉田は、アジアの経済急成長のもたらす環境問題を視野に入れて、東日本大震災後の、日本経済復興に有り方に焦点を当てて、『グリーン・エコノミー』中央公論新書、2011年を公刊した。さらに英文書Lecture on Environmnetal Economics, Hokkaido University Press, 2012を刊行し、日本とアジアの持続可能性、ガバナンス、ケイパビリティを基礎概念として考察した。
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