研究課題/領域番号 |
23310029
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 文和 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70113644)
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研究分担者 |
道田 悦代 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 研究員 (10450529)
植田 和弘 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20144397)
森 晶寿 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (30293814)
小嶋 公史 公益財団法人地球環境戦略研究機関, グリーン経済エリア, 研究員(Researcher) (60470142)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 世界CGEモデル / FTA / 海外投資 / 製品環境規制 / エネルギー問題 |
研究概要 |
東アジアの経済成長と持続可能な発展についての基礎的研究を総合的に行っている。東アジアの経済成長モデルにより、環境負荷について、小嶋が担当して分析を行っている。 経済成長と持続可能な発展の鍵となるのは、福島の事故以降、エネルギー問題であると考え、吉田と植田は、エネルギー政策の決定方法、省エネと再生可能エネルギーの利用拡大政策、FIT制度、原発の経済性、電力制度改革、気候変動政策などについて総合的に検討している。 森は、グリーン成長と低炭素発展をアピールしている中国と韓国を取り上げ、その特徴、進展、制約要因を解明している。 道田はEUの化学物質規制が、貿易障壁ともなりうることから産業政策の一環として、アジア各国への影響を調べ、とくに食品安全規制の分野について調査を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植田はCambridge Econometricsと共同し、日本の政策を分析できるモデルの構築は完了し、一部環境税制改革などの効果を分析した。それぞれの問題について資料収集し、その一部はE3MGモデルにおいて分析するべくシナリオを作成した。日本におけるエネルギー政策の転換は、エネルギー政策の決め方の転換を伴わなければならないことを明確にした。持続可能な発展は総合的な概念なので、国際機関が採用し東アジアにとっても重要な概念であるHuman Developmentとの関連や統合する上での課題について整理した。 小嶋は、東アジア地域での外国直接投資(FDI)に関する将来シナリオを描くうえでベースラインとしうるFDIに関する将来予測がないことから、FDIに対する障壁を従量税換算で設定し、その障壁を緩和するシナリオを反映できるモデルの開発を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
小嶋の実証データについては、フランスのCEPII(Centre d'Etudes Prospectives et d'Informations Internationales)がGTAPデータベースに対応する形で基準年2004年における二国間のFDIフローデータベースおよびFDIストックデータベースを作成している。このデータをベースとして、さらに部門別・出資者別の資本蓄積について国際貿易センター(ITC)による部門別ストックデータおよび出資者別FDIストックデータに基づき推定することとした。ただしITCデータで部門別・出資者別のFDIストックデータが記載されているのは米国のみであり、他の国・地域におけるデータ収集については今年度の課題である。植田は、Cambridge Econometricsと共同して作成したE3MGモデルを用いて、日本のエネルギー転換シナリオの経済効果分析を行う。その際、原発の経済性、電力システム改革、再生エネ促進策、気候変動政策との関係、などの要素を組み入れたシナリオとする。このモデルを韓国や中国の分析も行えるように拡張する作業を行う。
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