研究概要 |
現行メカニズムについて,従前の研究を継続するとともに,CDM理事会理事を研究会に招いて情報収集を行った。とくに,プログラムCDMや,計画書に関する問題点を中心に,課題を検討した。 新規メカニズムに関しては,欧州連合が提案しているセクター・クレディティング,日本が提案している二国間メカニズムについて,その提案の内容について,資料収集を行い,また政府関係者を研究会に招いて情報収集を行った。新メカニズムの中では,これらがもっとも進行しており,その方針としての標準化ベースラインや,プロジェクト単位といった属性についての評価が今後の課題となる。 途上国の交渉ポジションならびに交渉上の問題点の検討については,動学的交渉モデルを用いた理論分析の準備を進めた。 COP17にオブザーバー参加し,メカニズム関連のサイドイベント等においてNAMA等に関する各国研究者の見解や,交渉参加者からその動向を伺った。終了後は,COP17の決定について分析し,本研究の個別課題の再検討を行った。 技術協力と提携の理論分析については,長島が,これまでの地球環境問題にかかわる提携形成分析に技術協力を含めたモデルへと拡張し,これについて討論した。 The Fifth International Exergy, Energy and Environmlental Symposiumで,エネルギープロジェクトをもっぱら対象として,CDMのベースラインが持つインセンティブに関する報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
COP17で,京都議定書の延長が決まった。しかし日本は,京都議定書のもとで新たな排出量目標を設定しない。また,2020年からの発効を目指して,新たな法的枠組み交渉が開始されることになった。漸変的に進められてきたメカニズムの改訂が,京都議定書の延長下でも続けられ,また別途2020.年からの新しい法的枠組みのもとで実施される新しいメカニズムについての交渉も進められる。本研究は,これらの交渉を見ながら,適宜課題修正を行いつつ進めることになる。
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