研究課題
1.6週齢のApcMin/+; Lgr5Cre; Bcl11bF/+マウスに4OHT投与し、18週齢で腸管腫瘍数を調べた。4OHT投与によりBcl11bの片アリル欠失が誘導されたMinマウスの腫瘍数は、コントロールに比べ有意な差を示さなかった。これはLgr5発現幹細胞でのBcl11b片アリル欠失は発がんを促進しないことを意味し、Lgr5+細胞よりも上位のBmi1+幹細胞で貢献することを示唆する。しかし、Bcl11bのCreによる欠失効率が約20%と低いため、検出精度に限界があり、最終結論とはならないと判断した。2.リンパ球でのBcl11bの解析から、Bcl11bは転写因子ではなく、転写を修飾するSWI/SNF複合体の一構成員であり、SWI/SNF機能を介して発がんに貢献するとの報告が昨年あった。そこで、ヒト大腸がん由来のHCT116細胞にBcl11bを発現させ、その核抽出液をグリセロール密度勾配遠心法で解析し、複合体形成への参加を検討した。その結果、Bcl11bはSWI/SNF構成因子であるBRG1やBAF53Aと同じ巨大サイズ分画に存在することが認められ、Bcl11bは腸管細胞でもSWI/SNF複合体の構成因子であることが示された。3. Lgr5Cre; Bcl11bF/+マウス腸管細胞からLgr5発現細胞をソーティングし、Bcl11b片アレルのみ欠失した細胞を分取し、この細胞での遺伝子発現変化をDNAアレイで解析した。脂質代謝やクリプト特異的な発現の上昇が観察され、これは予想と合致する一つの特徴であった。一方、Wnt/b-cateninシグナル下流の遺伝子としては、c-JunとFGF18の発現上昇がみられた。両者とも大腸がん細胞で上昇するとの報告があり、これらの遺伝子発現上昇を介してBcl11b片アレル消失が大腸がん発症に貢献する可能性が示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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