研究課題
RI施設内で137CsCl水(100Bq/ml)の自由摂取群と通常飼育の対照群ともに17代以上の世代交代に成功した。(1)その10世代目のマウスの出生後4週目に、発がん物質であるUrethane (A/J において肺がん誘発)を単回皮下投与し、4ヶ月後、8ヶ月後に肺腫瘍の発生頻度と増殖速度を定量した。(2)10世代目における相互転座型の染色体異常解析、(3)慢性的低線量内部被曝による生理代謝への影響を調べるために凍結肝組織を用いたメタボローム解析、(4)凍結肝組織より抽出したDNAよりWwox(第8番染色体)、Fhit(第14番染色体)、Uty、Zfy-1、Zfy-2(Y染色体)、mt-Rnr1、mt-Ts1、mt-Ts2(ミトコンドリア)の任意の場所の一塩基多型変異の検出を試みた。その結果、(1)両群間で肺腫瘍発生率には差が認められなかったが、10か月齢のUrethane誘発肺腫瘍平均体積では137Cs水給水群(3.6mm3)の方が対照群(5.5mm3)に比して有意(p=0.0056)に小さいことが認められた。(2)すべての細胞に共通の相互転座型染色体異常は認められなかった。(3)メタボローム解析では、137Cs水給水群で有意な酸化ストレスによる代謝産物の上昇が認められたが、総抗酸化能に関与する代謝系には有意差は認められなかった。(3)現在までに行った6000bpの非コーディング領域の一塩基多型変異解析では、変異は検出されていない。以上の結果から、マウスが毎日飲むセシウム137水の濃度が100Bq/ml(100000 Bq/kg)レベルでは10世代以上継続した子孫(ヒトでの10世代はおおよそ300年に相当する)において、酸化ストレスは認められるものの発がん物質による発がんへの放射線との相乗効果、染色体異常、一塩基多型変異などに対しての危機的な影響は認められなかった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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