• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

ユビキチン化を介する相同組み換え修復制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23310040
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

中田 慎一郎  慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (70548528)

キーワード相同組換え修復 / ユビキチン / BRCA1
研究概要

BRCA1はDNA損傷における相同組換え修復に必須と考えられてきたが,最近の研究でBRCA1と53BP1の両遺伝子が発現しないマウス線維芽細胞では相同組換えが行われることが示された.このことはBRCA1非依存性の相同組換え修復経路の存在を示唆している.私はまずsiRNAを用いてBRCA1と53BP1をヒト細胞でノックダウンし,その細胞に放射線を照射した後にRAD51特異抗体を用いた蛍光免疫染色を行い,ヒト細胞におけるBRCA1非依存的相同組換え修復機構の存在を確認した.RAD51のDNA損傷部位への集積(蛍光免疫染色でfocusとして観察される)は相同組換えに必須であり,BRCA1ノックダウン細胞ではRAD51のDNA損傷部位への集積は観察されなかった.これに対し,BRCA1および53BP1をともにノックダウンした細胞では,RAD51のfocus形成が回復した.このデータを基として,また,これまでの自分の研究データ(OTUB1によるクロマチンユビキチン化の抑制により相同組換え修復が抑制される)からDNA損傷依存性に起こるクロマチンユビキチン化の相同組換え修復への関与を考え,解析をすすめた.その結果,特定の遺伝子が関与するクロマチンユビキチン化はBRCA1と53BP1をノックダウンした細胞における相同組換え修復を制御することが判明した.一方,この機構はBRCA1依存性に起こる相同組換え修復には必要ないことも判明した.
この他に,ユビキチンやE2ユビキチンリガーゼUBC13を293T細胞に発現させた上で免疫沈降を行い,その免疫沈降物をマススペクトロメトリーにより解析した.次年度以降,このデータを用いて解析をすすめる予定である.また,クロマチンユビキチン化に関わるUBC13以外のE2についてsiRNAスクリーニングを行ったが,これはoff target効果が強かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

23年度に計画していた実験に加え,平成24年度以降に行うよう計画していた実験の一部についても実施し,期待される成果を得られたため.

今後の研究の推進方策

癌治療への応用を視野に入れた薬剤感受性実験にはsiRNAノックダウンによる実験では不十分な可能性があるため,マウスのノックアウト細胞を入手するかあるいはDT40細胞を用いてノックアウト細胞を作成して,より実践的な研究としていきたい.siRNAを用いたスクリーニングでは強いoff target効果が解析を困難としたことを鑑み,よりoff target効果が低いとされるsiRNAを用いたスクリーニングに切り換えて今後の実験を行う.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 脱ユビキチン化酵素OTUB1によるDNA損傷依存性クロマチンユビキチン化制御機構の解明2011

    • 著者名/発表者名
      中田慎一郎
    • 学会等名
      第70回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-05
  • [学会発表] DNA二本鎖損傷によるクロマチンユビキチン化2011

    • 著者名/発表者名
      中田慎一郎
    • 学会等名
      第70回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2011-10-05
  • [産業財産権] 単鎖切断誘導剤の増感剤及びその製造方法2012

    • 発明者名
      中田慎一郎
    • 権利者名
      学校法人慶應義塾
    • 産業財産権番号
      特許特願2012-072399
    • 出願年月日
      2012-03-27

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi