OTUB2はDNA2本鎖損傷部位においてRNF8によるユビキチン化を抑制的に制御する脱ユビキチン化酵素である。OTUB2をノックダウンした細胞では、DNA損傷部位に相同組換え修復抑制因子である53BP1やRAP80が過剰に集積する。平成25年度は、OTUB2ノックダウン細胞における相同組換え修復制御について研究を行った。相同組換え修復にはDNA end resectionが必要であり、end resection後に露出する1本鎖DNAにはDNA結合蛋白RPAが結合し、さらにこれがRAD51に置き換えられる。OTUB2ノックダウン細胞では、DNA損傷後にRPAおよびRAD51のDNA損傷部位へのリクルートが低下していた。また、レポーターアッセイによりDNA修復効率を測定したところ、OTUB2ノックダウン細胞では相同組換え効率も低下していることが示された。OTUB2ノックダウン細胞から53BP1もしくはRAP80をノックダウンすると、RPAおよびRAD51のDNA損傷部位へのリクルートは回復した。このデータは、OTUB2ノックダウン細胞において53BP1およびRAP80依存性の相同組換え修復抑制が起こることを示している。 本研究の成果により、RNF8およびOTUB2によるDNA損傷部位での適切なユビキチン化レベルの調節が相同組換えによるDNA修復を行うために重要であることが示された。
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