研究課題/領域番号 |
23310041
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
岩淵 邦芳 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10232696)
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研究分担者 |
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 准教授 (20232275)
橋本 光正 金沢医科大学, 医学部, 講師 (70293975)
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キーワード | 分子生物学 / 核 / DNA二重鎖切断 / 放射線 / 修復 / アポトーシス / 53BP1 |
研究概要 |
p53結合蛋白質として見出された核蛋白質53BP1は、ヌクレオソームとの結合を介してDNA二重鎖切断部位に集積し、DNA損傷の修復に関与する。DNA損傷を負った細胞がアポトーシスへ移行するか否かを決める要因については、これまで漠然と「DNA損傷の程度が大きすぎて修復できない時」としか述べられていない。53BP1は、アポトーシス誘導因子p53に結合することからアポトーシスへの関与が予想されるが、アポトーシスにおける53BP1の機能についての解析はみられない。申請者は、staurosporineにより誘導されたアポトーシスにおいて、53BP1がカスパーゼにより切断され、ヌクレオソーム結合ドメインTudorを含むC末断片化されることを見出した。本研究は、53BPIC末断片のアポトーシスにおける役割を明らかにすること、さらには53BP1のC末断片化を指標に、X線照射後の細胞が生存か死かの運命決定を下す時期、運命を決定づける要因(DNA損傷数なのか、損傷の質なのか、損傷を受けた細胞周期なのかなど)を明らかにすることを目的とする。本年度は、(1)リンパ球系腫瘍細胞株(Molt4、Nalm6)を用いて、X線照射で誘導されるアポトーシスにおいても53BP1がC末断片化されること、(2)アポトーシスの誘導にともない、核内に存在していた53BP1が細胞質に移行すること、(3)siRNAによる53BP1発現抑制により、staurosporineにより誘導されるアポトーシスが抑制されることを見出した。今後は、機能ドメインとの結合蛋白質の同定も含めて、アポトーシスにおける53BP1の機能ドメインの役割を明らかにする。さらに、最終的に生存した細胞とアポトーシスへ移行した細胞で、X線照射後の53BP1の挙動にどのような差があるかを調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた、53BP1C末断片と結合する蛋白質の同定と、既に同定されているいくつかの結合蛋白質のアポトーシスにおける機能解析がやや遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
53BP1C末断片のアポトーシスにおける役割を明らかにするために、アポトーシス細胞において53BP1C末断片と結合する蛋白質を、免疫沈降法と質量分析法により同定する。C末にEGFPを融合させた53BP1を発現させたNalm6細胞株を樹立する。この細胞株にX線を照射し、照射後の細胞をタイムラプス蛍光顕微鏡で観察することで、最終的に生存した細胞とアポトーシスへ移行した細胞で、照射後の53BP1の挙動に差があるか否かを調べる。
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