研究課題
発達障害を引き起こす化学物質への関心は高いが、膨大な化学物質の毒性を網羅的に評価することは難しい。このような現状から、データの信頼性を損なうことなく、作業効率を向上させた試験法が必要である。ニューロンは神経突起を伸長して互いに連絡し、神経回路を構築する。また、アポトーシスを起こして選択的に脱落することも適切な神経回路の構築に重要である。本研究の目的は、神経突起や細胞死を指標にして、培養細胞を用いた新規のin vitro試験法を開発することである。さらに、被験物質の毒性発現機序を明らかにし、動物個体を用いた曝露試験の結果と開発試験法の結果を比較することで開発試験法の有用性と信頼性を提示することである。これまでの研究から、マウス神経芽腫由来細胞株Neuro2Aのライブイメージングを行い、神経突起形成と細胞生存性への影響を同時に評価する手法を確立した。また、ヒ素の影響を調べた結果、低濃度のヒ素がNeuro2Aの神経突起伸長を抑制することが示された。本年度は、発達期にヒ素を曝露した成熟マウスの大脳皮質ニューロンを解析した。その結果、発達期にヒ素を曝露したマウスでは、対照群に比べて、大脳皮質ニューロンの神経突起が短くなっていた。このことから、培養細胞を用いたin vitro試験法による解析結果が、個体レベルでの解析結果と整合性があることが示された。昨年度において、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)の毒性影響を調べ、DEHPはNeuro2Aの細胞死を誘導することを示された。本年度は、DEHPの毒性メカニズムを明らかにする実験を行った。その結果、酸化ストレスや炎症反応に関与する遺伝子の発現がDEHPによって変化することが分かった。さらに、酸化ストレスによって発現誘導するHO-1をノックダウンすると、DHEP誘導性の細胞死が抑制された。このことは、HO-1がDEHPの毒性を仲介する分子であることを示している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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