研究課題
DOHaDは胎児などのナイーブな時期に生じた体の中の目に見えないエピジェネティックな素因が、成熟してからの病気への罹りやすさを左右するという仮説だが、特定の環境因子による変動の分子メカニズムの報告は少ない。本研究では以下の二つの研究目標を設定した。1)周産期の生育環境の違いで生じる核内因子の機能変化が、エピジェネティックメモリーを変化させる分子機構解明。2)環境毒性研究等コスト面で問題となる多検体解析に対応できるゲノムワイドの網羅的CpGメチル化変動解析法開発。1)妊娠マウスにダイオキシン(TCDD)を単回投与すると肝臓のCyp1a1遺伝子プロモーターDNAが生後3日目から低メチル化し、成熟後まで維持されることを報告してきた。タイムラグから考えて、受動的脱メチル化による変化であり、その根拠としてChIPアッセイよるDnmt3bの解離がTCDDで起きることなどを明らかにしてきた。一方で、この記憶が成熟個体でも起きうるかどうかに関する検討を実施した。かつての解析で100 ngTCDD/kgでは低メチル化を起こさないことが分かっていたが、胎生期曝露による用量依存性試験データでEC50が382 ngTCDD/kgであったことから、3000 ngTCDD/kgでの投与を生後10週齢のマウスで実施した。その結果この低メチル化は投与後24時間から観察されることが解り、能動的脱メチル化である可能性が出てきた。2)独自開発した網羅的CpGメチル化解析法(MSD-AFLP法)で、DOHaDを引き起こすとされるが分子機構がまだ解らないBisphenol-Aを曝露して生まれた雄の大脳海馬DNAを解析したが変動は確認できなかった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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