研究実績の概要 |
東京湾、太平洋、大西洋で採取した5mm以下の海洋漂流プラスチック(マイクロプラスチック)を0.3mm - 1mm, 1mm-5mmの画分に分け、それぞれの画分について今年度本科研費で購入した小型フーリエ変換赤外分光光度計を用いて、ポリマーの種類の同定を行った。東京湾、太平洋、大西洋で採取したマイクロプラスチックはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン製と同定された。それぞれのプラスチック中のポリ塩化ビフェニル(PCBs)およびポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)の測定を行い、外洋漂流マイクロプラスチックからも高臭素PBDEsを検出し、添加剤のマイクロプラスチック中の残留が確認された。この結果は昨年度までに外洋性の海鳥のハシボソミズナギドリの胃内のプラスチックと同じ個体の脂肪中から高臭素PBDEsが検出されたことと調和的であった。マイクロプラスチック中のPCBs濃度は東京湾で数百ng/g、外洋で数ng/gであり、International Pellet Watch(IPW)の結果と同じ傾向であり、海岸漂着プラスチックの結果からその海域を漂流するマイクロプラスチック中のPCBs濃度の推定が可能であることとが明らかになった。 海岸漂着プラスチック中の残留性有機汚染物質(POPs)を分析している世界の研究者が東京農工大学に集まり、分析法のキャリブレーションのための国際ワークショップを開催した。本科研費でもプラスチックへのPOPsの吸脱着の専門家Dr. Karapanagiotiを招聘した。 海鳥を使った摂食実験、ベーリング海の海鳥組織各組織の詳細分析を行った。 これらの成果をまとめて、国際学術雑誌に投稿し、Springerから依頼の本を編集中である。さらに、スイス、韓国で開催された学会や国際シンポジウムで講演し、これまでの研究成果について口頭発表した。
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