研究課題/領域番号 |
23310047
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
古武 弥一郎 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 准教授 (20335649)
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研究分担者 |
小椋 康光 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (40292677)
太田 茂 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 教授 (60160503)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 有機スズ / 神経毒性 / グルタミン酸受容体 |
研究概要 |
申請者らは大脳皮質初代培養神経細胞を用いて、「脳に常在する濃度と同程度のトリブチルスズ (TBT) が、神経細胞の生死や脳高次機能に重要な役割を果たしているグルタミン酸受容体のGluR2サブユニット発現を持続的に減少させることを見出した。この知見を基に、 1. TBTによるGluR2発現減少メカニズム (in vitro) 2. TBT摂取によるGluR2発現減少に基づいた神経影響 (in vivo) の2点に着目する。In vitroで1の詳細なメカニズムを検討するとともに、in vivoで2の有機スズを含む飼料から摂取されたTBTの脳内量を定量し、GluR2発現減少およびその及ぼす影響をメカニズムに基づいたin vivo神経毒性評価系を用いて明らかにする。TBT以外の有機スズについても同様のメカニズムによる神経影響を検討し、環境に存在する濃度に近い濃度の有機スズによる神経影響の分子メカニズムを解明することが本研究の目的である。 今年度は特にin vivo神経影響評価について検討を行った。有機スズを経口投与したラットおよびマウスの脳を摘出し、脳部位別スズ含量、およびGluR2とその関連分子の発現を調べた。その結果、5 mg/kgおよび10 mg/kg有機スズ単回投与24時間後において、有機スズは脳の各部位に分布し、GluR2関連分子である脳由来神経栄養因子 (BDNF) の発現がタンパク質、mRNAともに有意に減少していた。マウスを用いてこの時点で各種行動薬理実験を行ったところ、自発的運動量は有意に増加したにもかかわらず、テールサスペンジョン試験および強制水泳試験においてうつ病様症状を惹起することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vivo神経毒性評価について、GluR2関連分子の変動は明らかになってきたものの、GluR2自身のはっきりした減少とそれによる影響評価が不充分である。
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今後の研究の推進方策 |
GluR2減少の分子メカニズムを明らかにするとともに、今年度達成できなかったin vivo GluR2発現減少とその影響評価について検討する予定である。
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