研究課題
硫化カルボニル加水分解酵素(COSase)の触媒反応機構を解明とその効率化を目指し、独立栄養性硫黄酸化細菌のThiobacillus thioparus strain THI115の COSase の分子育種を、平成24年度に引き続き実施した。COSase とβ炭酸脱水酵素、Acidianus sp. strain A1-3 由来の二硫化炭素加水分解酵素との結晶構造の比較から、COSase ではα5のヘリックス(118~133残基目)が基質ポケット入口に存在することで基質選択性を決定していることが示唆されたため、α5ヘリックス欠損変異体の組換え体による発現を試みた。GST, Hisタグ等を付加した発現系構築を試みたが、いずれの場合にも野生型と同様な4量体として発現させることはできなかった。この結果、COSaseにおいて、α5ヘリックスは立体構造形成に大きく寄与している可能性が示唆された。α5ヘリックスに加え、触媒ポケットの奥に位置するアミノ酸残基Ile33が基質認識に関与する可能性が高いと考えられたことから、β炭酸脱水酵素や二硫化炭素加水分解酵素との比較をもとに,Ile33をGly, Ser などに置換した部位特異的変異体の発現を検討した。GSTを付加した組換え体の発現系を作製したが、これまでのところ、活性測定、結晶解析に十分な酵素を得るまでには至っていない。高効率の新規COS分解微生物の分離については、真菌ではTrichoderma属に高頻度で分離され易い事が示され、これらの分解菌の中のTHIF20株を選択し、平成24年度に分離された細菌2株と合わせ、COS分解活性、代謝中間体などの生理生化学的性質を調べた。これらの菌はいずれも土壌微生物としてよく知られるものであり、これらの従属栄養性の微生物も大気のCOS濃度の維持に大きく貢献している事が示された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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