研究課題
水プラズマは通常外部に捨てている冷却水を直接放電領域に吹き込み,プラズマガスとして用いるため,90%以上の高い熱効率を得ることができる.また,本来共存させにくいOラジカル,Hラジカルを豊富に有するため,新しい廃棄物処理プロセスとして期待されている.本研究は,難水溶性の有機化合物である1-デカノールを処理対象物質として選定し,水プラズマ中での分解,その分解機構を解明することを目的とした.プラズマガスとして1-デカノールに何も前処理を行わず,水と共にプラズマガスとして用いた場合,すぐに水相と油相に分離してしまい,1-デカノールと水の蒸発に偏りが生じてしまう.したがって,本研究では1-デカノールを,界面活性剤であるPolyoxyethylene(20)cetyl etherを用いることでエマルションとして水に分散させ,プラズマガスとして用い分解実験を行った.また,界面活性剤と水のみを混合させた水溶液を水プラズマによって分解し,1-デカノールエマルションの分解実験と比較することで,分解機構について検討した.実験結果より,以下の結論を得た.1-デカノールの固体炭素,一酸化炭素,二酸化炭素への転化率は96 %以上であった.したがって,難溶性有機物であってもエマルション状にすることで分解処理が行うことができることがわかった.さらに,エマルションと界面活性剤水溶液の実験結果を比較することで,1-デカノールからはエタノール,Polyoxyethylene(20)cetyl etherからはアセトンが主に生成することがわかった.また,本研究において分解生成気体から60%以上の水素が確認されていることから,廃液から有用なガスを生成できるといえる.従って水プラズマによる有機物分解は工業的にも優れた手法である.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plasma Science and Technology
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