研究課題/領域番号 |
23310053
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森 隆昌 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20345929)
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研究分担者 |
椿 淳一郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (50109295)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 誘電分極 / スラリー / ケミカルフリー / 凝集 |
研究概要 |
スラリーに電場を印加しケミカルフリーで液中微粒子を凝集させることを検討した.印加する電場の条件及びスラリーpHを変化させて,凝集に及ぼす影響を考察した結果,以下の事が明らかとなった. 5 ~ 20 Vという比較的低電圧の直流電場をアルミナスラリーに印加することによって,粒子をケミカルフリーで凝集させることができた.交流電場の印加では粒子凝集効果がほとんど見られなかった.直流電場による凝集体形成において,印加する電圧にほぼ比例して粒子の沈降速度が上昇した.直流電場による凝集体形成において,電場印加中にスラリーを攪拌することは粒子の凝集には効果がなく,むしろ凝集体を破壊する結果となった.スラリーのpHを変えて同一条件で電場を印加した結果,スラリーpHが等電点から離れるほど,粒子間に作用する大きな静電反発力によって電場による粒子凝集が妨げられることがわかった.電場印加時間の影響を検討した結果,電場印加時間が長いほど凝集体が成長するが,その成長速度は徐々に遅くなっていくことが分かった.より効果的な凝集促進のためには,印加する直流電場の電圧を増加させるよりも,電極間距離を狭くすることの方が有効であることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分極造粒により効果的に粒子を凝集させるための条件についていくつかの指針を見出すことが出来た.さらにバッチ式の装置での実験成果を生かして,スラリーを連続的に分極造粒,濃縮,回収する装置のプロトタイプを試作することができ,連続処理の可能性についても検討を開始できる状況になった.バッチ試験についてはおおむね当初の予定通り,連続試験の可能性の検証についてはやや前倒しで計画を実験できており,研究全体としてみてもおおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
分極造粒の応用のためには,現象の基礎的な理解が十分でなければならないが,粒子の物性や液の物性あるいはプロセス条件が粒子の凝集効果に及ぼす影響が定量的に解明できていない.そこで今後はまずバッチ試験に集中して,上記の粒子の物性,液の物性,プロセス条件が凝集効果に及ぼす影響を定量的に明らかにする.電場の計算が容易な矩形セルに平板電極を配置し,スラリー条件,電場印加条件を系統的に変化させて,粒子の凝集度合いを評価していく.
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