アルミナスラリーを用いて,矩形セル(スラリー処理槽)における実験から,電場による粒子凝集に及ぼす各種パラメータの影響を系統的に調査した.電圧を大きくする,電極間距離を狭める,いずれも電界強度が増加することになるが,粒子凝集には電極間距離を狭めることの方がより有効であることが分かった.電場の均一性が影響を及ぼしたためと考えられるが詳細は今後の検討課題である. スラリー条件に関しては,スラリーpHが電場による凝集に及ぼす影響を検討した結果,スラリーpHが粒子の等電点付近である方が容易に凝集可能である事が分かった.スラリーpHは粒子の表面電位に影響し,表面電位が大きい場合は粒子間に静電的な反発力が働くことが電場による凝集の妨げとなり,凝集効果が低下する傾向がある事が分かった. シリコン粒子を用いた実験から,粒子の表面電位,溶媒の粘度,イオン濃度が電場による凝集に及ぼす影響を考察した.シリコン粒子は金属粒子の1つであるが,表面は酸化物が形成されており,基本的にシリカ粒子と同じように電場による凝集効果が確認された.溶媒の粘度が高い場合は粒子が凝集しづらくなる傾向が見られた.これは粘度が高い溶媒中では粒子の拡散速度が遅くなるために粒子の接触回数(接触確率)が小さくなり,その結果粒子凝集効果が低下したためと考えられる.したがって,電場による粒子凝集が効果的である場合は,粒子の表面電位が高すぎないこと(等電点近傍),溶媒の粘度が高すぎないことが重要であることが明らかとなった.
|