研究課題/領域番号 |
23310057
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
尾崎 博明 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40135520)
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研究分担者 |
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (90178145)
白川 卓 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (30171044)
濱崎 竜英 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (50340617)
谷口 省吾 大阪産業大学, 新産業研究開発センター, 研究員 (40425054)
高浪 龍平 大阪産業大学, 新産業研究開発センター, 研究員 (00440933)
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キーワード | PFOS / PFOA / 有機フッ素化合物 / 強難分解性物質 / バイオアッセイ / 電気分解 / 紫外線分解 / 中間生成物 |
研究概要 |
本研究では、PFOS(Perfluorooctane sulfonate)やPFOA(Pernuorooctanoic acid)などの各種有機フッ素化合物(PFCs)に関する以下の研究成果を得た。 1.有機フッ素化合物16種類について下水処理場内の物質収支をとったところ、PFOAとPFOSの多くは懸濁態物質に移行したが、処理場へ流入したそれらは見かけ上ほぼ同濃度で処理場から放流されていた。放流先である寝屋川の上流から下流まで上記PFCsの水中挙動を調査したところ、下流ではPFOAやPFOSなどのC8の代替物質の可能性があるPFHpA(C7)やPFHeA(C6)などの炭素鎖の短い化合物の濃度が高くなる傾向がみられた。 2.蒸留水(NAHCO_3添加)や下水二次処理水中での電気分解により、PFOSやPFOAはいずれもほぼ100%が除去された。下水二次処理水中ではPFOSとは炭素数が異なる類縁物質をであるPFHxS(C6)、PFHpS(C7)、PFDS(C10)が90%以上除去され、PFBS(C4)が中間生成物として残留することが明らかになった。 3.低波長の真空紫外域を含む紫外線により蒸留水中のPFOAは90%以上が分解されたが、短鎖の中間生成物の生成により脱フッ素化率は20%程度にとどまった。河川水や下水二次処理水中では、有機物やアルカリ度による阻害により、PFOA分解率や脱フッ素化率がより低下することがわかった。 4.PFOS及びその中間生成物であるPFBSの生体への影響を、細胞生存率、ROS生成量、ミトコンドリア膜電位ならびにPPARα活性化能を指標に培養細胞(COS-1細胞とHepG2細胞)を用いて評価した。PFOSの曝露では、両細胞とも200μmol/L以上で細胞生存率の低下が見られるなど、有意な影響が見られた。一方、PFBS曝露では有意な変化は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PFOSやPFOA及びその類縁物質等の各種有機フッ素化合物(PFCs)に関する「水環境中での挙動」、「分解技術の開発と中間生成物の生成」及び「PFOS等のバイオアッセーによる毒性評価」など、23年度に計画された研究は順調に進捗した。分解に伴う中間生成物の同定については未知の部分が多く、継続して検討を進めているが、すでにいくつかの物質が同定されるなど成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
23年度の研究成果をもとに、有機フッ素化合物の分解機構の解明に向けて研究を進めていく。また、当初の研究計画通り、PFOS原体や固形汚染物、濃縮物の熱分解処理に関する研究を行う。固体からの有機フッ素化合物の分析はすでに水準以上の精確度で行えるようになっており、研究を進める上での格別の問題点は無い。
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