研究課題/領域番号 |
23310060
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
柘植 丈治 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70332260)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ポリヒドロキシアルカン酸 / バチルス属細菌 / 分子量 / エンド型分解 / 組換え大腸菌 / PHA重合酵素 |
研究概要 |
グラム陽性細菌Bacillus cereusが有するバイオポリエステル(PHA)重合酵素が、PHAの重合活性と共にエンド型の分解活性を有していることを見出した。このような重合酵素によるPHAの分解は、B. cereus系の重合酵素以外では報告されていない新規な現象である。一方で、B. cereus 由来重合酵素は、大腸菌内で多量のPHAを合成できる優れた酵素でもある。本研究では、この酵素によるPHA分解機構を分子レベルで明らかにし、分解活性が抑制された重合酵素の創出、そして、高分子量体PHA合成に応用することを目的としている。 平成24年度は、分解活性を検出するためのインビボアッセイ系を確立し、活性発現に関与するアミノ酸残基の特定を行った。このアッセイ系では、高分子量ポリエステルを生合成する大腸菌に、外部から検定遺伝子を導入し、合成されたポリエステルの分子量を測定するものである。これにより、分解活性の有無および強弱を調べた。B. cereus 由来重合酵素遺伝子に、種々の部位特異的変異を導入し、インビボアッセイ系で評価したところ、活性中心アミノ酸残基の一つを特定することに成功した。また、分解活性中心と重合活性中心の関係性を調べた結果、これらはお互い密接に関連していることが分かった。さらに、精製酵素を用いたインビトロでのアッセイ系の構築にも取組んだ。今後は、分解メカニズムの解明と分子量制御技術の確立に向けて、代謝改変株の作成および重合酵素遺伝子の改変に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分解活性の発現に必要なアミノ酸を一部特定することができ、また、分解活性抑制のための手掛かりを得ることができた。よって、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、①分子量低下を引き起こす必要条件の探索、②分解に関与するアミノ酸の同定を目的として検討を進める。①に関して、培養実験を繰り返し行うことで、分子量低下が観察される場合とされない場合の差異を見出すことに注力する。②に関して、分解の活性中心はシステインとアスパラギン酸で構成されていると予想される。既に、システイン残基は同定済みであるため、今年度は、昨年度に引き続き、もう一方の活性残基であるアスパラギン酸について同定を行う。
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