本研究では、金属ではなく誘電体微粒子を用いることで、クエンチング無しの蛍光増強を実現した。Mie散乱の理論からは、高い屈折率を持つGaPやSiの微粒子が電場増強効果を示すことが予想された。実際にGaP微粒子を作製し、色素分子からの蛍光スペクトルを観測したところ、最大で140倍に上る蛍光増強が達成された。微粒子表面から10 nm以下の距離で、増強度が最大となることが観測され、クエンチングが生じていないことも証明された。また、誘電体多層膜系による電場増強効果も理論的に検討したところ、クエンチング無しでの蛍光増強に非常に有望であることが結論された。
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