研究課題/領域番号 |
23310070
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福原 幹夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (30400401)
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研究分担者 |
藤間 信久 静岡大学, 工学部, 教授 (30219042)
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キーワード | アモルファス合金 / 電界効果型トランジスタ / 単電子トンネリング / クラスター / エレクトロニクス |
研究概要 |
【研究目的】の「応募者らが最近発見した『常温電界効果型クーロン振動現象(Mod. Phys. Lett. (2010))』を体系化することで、半導体代替次世代の単電子トンネリングの実用化素子を開拓する」に対し、H23年度の研究実施目標は【常温直流・交流トランジスター作用】の実現であった。本年度は(Ni_<0.42>Nb_<0.28>Zr_,0.3>)_<90>H_<10>アモルファス合金に金線のソース、ドレイン電極をスポット溶接し、上部にAl2O3酸化物を20μm被覆させたアモルファス合金電界効果型トランジスタ(GAFET)を作成し、ノイズ除去のため500kHz以下と1GHz以上の周波数フィルターの設置と交流電源駆動を4μV単位の-0.1~+0.1mV範囲の直流バッテリー電源により駆動させる方式に変えて繰り返し実験をして、常温における発信現象を計測した。Id-Vg特性における0mV近辺でのクーロン段階や3次元Id-Vd-Vg特性におけるクーロンダイアモンドを確認した。ゲート変調電圧は従来の半導体素子より1/1000~1/10000小さい0.1~1mVであった。これはSiより4桁小さい本系アモルファス合金の電気抵抗率に起因していることが分かった。また、直流Id-Vg特性に交流を付加した交流変調試験も行った。その成果はLow-Dimensional Structures and Devices(LDSD)2011の国際会議(メキシコ)に発表した。大変な興味を持たれた。その論文は2012年4月に掲載される予定である。また本系アモルファス合金を構成するクラスターのシミュレーションが静岡大学の藤間教授との共同研究により行われ、本系アモルファス合金は0.55nmのサブナノメーターの寸法のZr元素中心のZr5Ni5Nb3連続体が基本体で構成されていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本系資金を活用して、装置類を購入し、また有識者の雇用により、集中的に繰り返しの実験を行ったからである。特にノイズ対策上、交流電源からバッテリー直流電源に切替えての実験とフィルターの使用は大賞電圧が従来より1/1000以下であるために効果的であった。
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今後の研究の推進方策 |
本系合金はサブナノメートルのクラスターが色々な方向に並んでいるので、上記の量子効果に加えてAB波動効果が重なったFANO効果が出現する可能性がある。常温における磁場中の測定をする予定である。これは将来の量子コンピュータに繋がる研究である。そのためには東日本大震災による金属材料研究所強磁場センターの磁気測定器の修理復活が必要となる。磁場の±0.01T精度の保障があれば精密計測が可能となる。
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